訪問看護ステーションや高齢者ケア施設の管理者が抱える課題を浮き彫りにし、どうしたら職員が辞めない組織づくりができるのかについて指南します。
ステーションのビジョンを
発信する
横山 郁子
よこやま いくこ
株式会社パーソナル・ナース 代表取締役/訪問看護塾 塾長
神奈川県訪問看護ステーション協議会 会長
10年後のビジョンを持つ
皆さんのステーションには10年後のビジョンがありますか? それが個々の職員に浸透し、行動として表れている状態になっていますか?
筆者はステーション運営のコンサルテーションや研修の際、管理者に「あなたのステーションには10年後のビジョンがありますか?」と質問しています。すると、約8割の人が「そんな先のことは考えていなかった」と答えます。10年後のビジョンが明確でないと、職員の中には「このままずっと同じ仕事を繰り返していくのだろうか」「ここで働いていても成長できない」と不安になり、退職を考える人も出てきます。職員にやりがいを感じながら仕事をしてもらうには、経営者や管理者がビジョンを発信することが大切です。
当社では、理念を「看護を通じ笑顔が感染する」とし、10年後を見すえたビジョンとして「地域の人々が気軽に『看護』を買うことができるステーションをつくる」を掲げています。それを実現すべく、訪問看護の提供だけでなく、看護が世の中から必要とされている場所に届けることを事業の柱としています。
「おひとりさま」の悩みに寄り添う
当ステーションでは「まちの保健室」を運営しており、「健康問題の相談に乗りながら、さまざまなシニアライフにおける不安を解決して訪問看護の早期介入につなげる」ことをミッションとしています。