地域ケアの今(34)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

“おばさん教員”の悩みごと

文:上野まり

 

私は、これまで現任教育に約4年、看護基礎教育に約15年携わってきました。現任教育では、認定看護師教育課程や訪問看護基礎講座などで講師を務め、現役の看護師から逆に学ぶことも多かったです。基礎教育では、若い学生とともに笑ったり怒ったり、時には泣いたりすることもありました。どれも大切な思い出になっています。今春は、大昔に私が卒業研究を指導した学生2人が、病院・訪問看護を経て博士課程を修了し、大学で在宅看護学の教員になったとの連絡があり、とてもうれしく思いました。その一方で、長い年月が過ぎたことを実感します。

 

最近、これまでになく自分の年齢を感じるようになりました。というのも、以前と比べて学生との距離を感じることが多くなったからです。例えば、学生との会話の中で、昔の俳優・タレントなどの有名人の名前や、映画の題名を挙げても、学生はポカンとしています。私は彼女たちの親よりも年老いていますから、まったく話が通じないわけです。

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訪問看護ステーションの経営戦略(6)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

SWOT分析結果から

クロス分析をしてみよう

渡邉 尚之

 

クロス分析とは

 

今回は、5月号で取り上げたSWOT分析の結果を基に行う「クロス分析」について解説します。

 

簡単に復習すると、SWOT分析とはStrengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の頭文字をとったもので、企業の限りある経営資源の現状分析や将来の事業構想に役立つフレームワーク(枠組み・構造)として活用できる経営分析手法です。

 

SWOT分析のメリットは、フレームワークがシンプルで取り組みやすい点です。事前準備や大がかりな予備知識は不要です。複数人で作成できる点も魅力です。一方、デメリットは、強み・弱み・機会・脅威はそれぞれ絶対的ではなく相対的なものであるため、各要因を自ステーションの現状の中でどう捉えるかを考えて分析・分類する必要がある点です。また、SWOT分析はこれから紹介するクロス分析と合わせて活用しなければ単なる現状分析で終わってしまい、事業の具体的な方向性や今後の経営戦略を見いだせない点も重要です。このため、SWOT分析とクロス分析はセットで活用する必要があります。

 

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地域ケアの今(33)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

 

身体拘束等の

適正化の推進を考える

文:鳥海房枝

 

今年度の介護報酬改定では「身体拘束」が取り上げられ、身体拘束廃止未実施減算が5単位/日から介護報酬の10%/日へと大きく変わりました。この見直しに伴う基準として、①身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3カ月に1回以上開催し、その結果について、介護職員その他従業者に周知徹底をはかること、②身体的拘束等の適正化のための指針を整備すること、③介護職員その他の従業者に対し、身体的拘束等の適正化のための研修を定期的に実施することも追加されています。また、この適用範囲に居住系サービスを含めるなど対象事業所も拡大されました。

 

減算額はこれまでの5単位/日だと1日50円、1カ月1500円でしたが、介護報酬の10%となると金額は桁違いになります。そのため、多くの事業所は委員会の立ち上げや指針づくり、身体拘束の研修計画の立案など、あらためて取り組みの強化をはかっているようです。この動きを否定はしませんが、「身体拘束廃止」の本来の目的を考えてみたいと思います。

 

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SPECIAL BOOK GUIDE 看護 2018年6月臨時増刊号  ヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)をつくる


日本看護協会が2018年4月に公表した「看護職の健康と安全に配慮した労働安全衛生ガイドライン〜ヘルシーワークプレイス(健康で安全な職場)を目指して〜」を、現場で使いこなしてもらうための活用ガイドブックです。ヘルシーワークプレイスの定義、ガイドラインの活用方法、そして病院、訪問看護ステーション等での実践事例も紹介。ガイドライン全文も収載しています。

 

 

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訪問看護ステーションの経営戦略(5)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

SWOT分析をしてみよう

渡邉 尚之

 

 

経営戦略を立案する上でよく使われる手法に「SWOT分析」があります。SWOTとはStrengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の頭文字をとったもので、この4カテゴリーについて事業・組織などの内部環境・外部環境を分析する経営分析手法です。この結果を掛け合わせて(クロスさせて)検討する「クロス分析」との併用により、企業の限りある経営資源の現状分析や将来の事業構想に役立つフレームワーク(枠組み・構造)として活用することができます。今回はSWOT分析、次回はクロス分析について解説します。

 

SWOT分析の優れている点は、フレームワークがシンプルなため理解しやすく、かつその結果が視覚的にわかりやすいことです。自ステーションの強み・弱み、外部環境との関係性などを見える化したいと考える管理者には最適な方法だといえるでしょう。短時間で実施可能なため、ぜひチャレンジしてください。

 

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