書評『モース&フィールドの看護研究 質的研究を実際に始めるためのガイド』

評者:濱田 真由美(日本赤十字看護大学大学院博士課程)

 

看護独自の質的研究に関するテキストとなることを目指した本書では、本文中に引用されている研究が看護領域のものであり、看護の世界に身を置く読者にとっては研究課題と研究方法とのつながりがイメージしやすい。さらに、日本語版には1章と2章に「フォローアップ・ノート」が設けられ、訳者らによる解説によって読者の理解が深まるよう、工夫されている点も嬉しい。

 

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書評『第二の認知症 増えるレビー小体型認知症の今』(小阪 憲司 著/紀伊國屋書店)

評者:鈴木 恵美子(横浜メディカルグループ看護部老人保健施設レストア川崎看護部長)

 

認知症を巡る論は、各方面の有識者により議論されているところであるが、現在の名称に至る前は「痴呆」と呼ばれていた。「痴呆」という用語が侮蔑的な意味合いを含んでいることや、誤解や偏見の解消を図るとの考えから検討が行われ、2004年12月に「認知症」へ呼称変更となった。

 

認知症の三大原因には、大きく分けてアルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症がある。本書は世界で初めてレビー小体型認知症を明らかにした小阪憲司先生が、わかりやすい内容で、認知症という病気を巡る歴史から医療・介護の新しいカタチについて知り得なかった情報、レビー小体という物質、パーキンソン病の位置づけなど鑑別しづらい疾患についても詳しく述べている。

 

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書評『がん終末期患者のストーマケア Q&A』(祖父江正代・松浦信子 編)

評者:溝上 祐子(公益社団法人日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程長)

 

これからの日本は急速に進む高齢化・多死社会を迎えるに当たり、医療のあり方を大きく変化させていくことが求められている。

 

看護師が働く場所も病院だけでなく、あらゆる保健施設や老人施設、そして在宅の場など多様化していくであろう。現在は看取りの場所のトップは病院であるが、今後はその受け入れ病床が不足することが予測されている。

 

もはや、がん終末期の緩和ケアは病院だけではなく、あらゆる場面で必要となってくる。これからの看護師はプロフェッショナルとして、あらゆる職種と協働しながらリーダーシップを執っていく能力と知識を持たなければならない。

 

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Review『看護の時代』(日野原重明・川島みどり・石飛幸三)

 

評者:勝原 裕美子(聖隷浜松病院 副院長兼総看護部長)

 

「看護師が考えている以上に、看護師にはできることがある。感じている以上に、やるべきことがある」

 

今をときめく人というのはその時代ごとにいるが、本書の著者3人は、看護の本質を見抜き、看護の歴史を作りながら、ずっとときめき続けてきた人たちだ。その人たちが、看護の普遍的な力と看護の限りない可能性を語ってくれている。病を治すという基本的な医療の考え方に対して医療者はもっと謙虚にならなくてはならない。

 

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書評『伝え上手な患者になる!「医者と何を話してよいかわからない」あなたへ』(平松 類 著/自由国民社)

評者:石田 昌宏(前日本看護連盟幹事長)

 

少子高齢化は、医療の受け手が増え、支え手が減る時代。医療にかかるお金がかかる時代。効率化が求められる。それを乗り切るには、医療のプロたちを上手に使う方法を国民みんなで共有する必要がある。

 

熱っぽい時はどうしたらいいのか。薬を忘れず飲むためにはどうしたらいいのか。体調の違和感をどうやって医師に伝えたらいいのか、手術をしたほうがいいと言われたが不安をどうやって取り除けばいいのか……。

 

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