最新の知識と情報を満載してリニューアル!  訪問看護ステーションの開設・運営にチャレンジする看護職を応援します!! 『新版 訪問看護ステーション開設・運営・評価マニュアル 第2版』

佐藤 美穂子さん
(公益財団法人日本訪問看護財団常務理事)

 


1972年高知県立高知女子大学家政学部衛生看護学科卒業。同大学助手を経て、1973年東京白十字病院、1986年日本看護協会訪問看護開発室、1995年旧厚生省訪問看護係長、介護技術専門官、看護専門官を経て2001年より財団法人日本訪問看護振興財団(現公益財団法人日本訪問看護財団)事務局次長、2002年より現職。


 

地域包括ケアシステムの充実を目指し、予防から看取りまで、地域に開かれた看護サービスの拠点として、ますます期待される訪問看護ステーション。その開設・運営・評価に欠かせない知識や情報を収載した本書が“新版第2版”として久々に改訂されました。本書の監修・執筆者である日本訪問看護財団常務理事の佐藤美穂子さんに、初版発行の経緯や今回の改訂のねらい、さらに訪問看護や在宅医療をめぐる動きと今後の展望についても伺いました。

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『平成24年版 看護白書』刊行!テーマは「災害時における看護の力・組織の力 東日本大震災でつないだ支え合いを今後に活かす」

今年度の看護白書は2011年3月11日に発生した東日本大震災における、日本看護協会を始めとする各団体の支援活動に焦点を当て、まとめました。今回の経験から得られた課題を基に、今後の災害支援活動にどう取り組むべきなのか、示唆に富む内容になっています。

 

 

●総論の主な内容

「東日本大震災の特徴」について、室崎益輝氏(関西学院大学総合政策学部教授)が解説。

 

「公益社団法人としての日本看護協会の災害支援活動」を井伊久美子氏(日本看護協会専務理事)が報告。被災3県である「岩手、宮城、福島の県看護協会の活動」内容を、それぞれ時系列で兼田昭子氏(岩手県看護協会長)、上田笑子氏(宮城県看護協会長)、高橋京子氏(福島県看護協会長)が振り返ります。 続きを読む…

“震災はまだ終わっていない”被災2年目に必要な看護支援とは

昨年3月11日の東日本大震災から1年半が過ぎ、ニュースで被災地の話題が取り上げられることも少なくなってきました。しかし被災地では今でも、仮設住宅で不自由な生活をされている方が大勢います。中には、知り合いがいないので家に閉じこもっていたり、誰にも知られずに孤独死される方もいます。小社刊『避難所・仮設住宅の看護ケア』は仮設住宅で必要な看護支援について記した(現在のところ)唯一の書籍です。被災地に赴く際は、ぜひご活用ください。

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「社会人基礎力」で、養いたい姿勢・態度を 行動に可視化してみませんか?:『看護職としての社会人基礎力の育て方』

新刊『看護職としての社会人基礎力の育て方 専門性の発揮を支える3つの能力・12の能力要素』は、経済産業省が示す「社会人基礎力」を新人の社会化など看護職の人材育成に役立てていただくための1冊です。社会人基礎力とはどのようなものか、一部ご紹介しましょう。 続きを読む…

『『はじめて学ぶ グリーフケア』刊行!東日本大震災後のグリーフケアを見すえた最適な入門書』

はじめて学ぶグリーフケア

 

厚生労働省が昨年発表した「平成24年度人口動態統計」によれば、2011(平成23)年の総死者数は約125万人。多死社会に突入した我が国におけるグリーフケアの重要性はますます高まっています。本書は、東日本大震災を宮城県と福島県で体験した2人の著者が書き下ろした、よりよいグリーフケアの実践書です。看護師、介護士を始め遺族を支える全ての職種の方々が、わかりやすくグリーフケアを学ぶことができる内容です。

 

 

本書で学ぶことができる内容

 

1章 悲嘆とは何か

 悲嘆(グリーフ)の定義や、悲嘆発生のメカニズム、事例による悲嘆症状の解説など悲嘆の基礎知識を学びます。そして、今なぜ悲嘆の問題が注目されているのかという社会的な背景や、グリーフケアに当たっての心構えと基礎知識も併せて解説しています。章末には、フロイトから始まった悲嘆研究の歴史と、さまざまな学説を紹介しています。

 

2章 日本人の悲嘆

 日本人が示す悲嘆の4つの因子、①思慕、②疎外感、③うつ的不調、④適応対処の努力、についてそれぞれ学習します。13枚のイラストを使って各因子の内容をわかりやすく示しています。  また、複雑な悲嘆、予期不安など特殊な悲嘆についても、グリーフケア実践に当たり重要なので解説しています。

 

3章 グリーフケア・カウンセリング&ワークショップの実践

 1章、2章でグリーフケアを理論的に学んだ後はグリーフケアの実践について学びます。グリーフケア・カウンセリング、セルフケアグループ、グリーフケア・ワークショップなどの概念と実践法について、プログラムや進行表などを例示しつつ、わかりやすく解説しています。

 

4章 遺族と看護師からの相談

 1章〜3章まで一通りグリーフケアについて学んだ後は、実際に著者に寄せられた遺族からの悲嘆に関する相談を5題、看護師からの相談を10題紹介しています。臨床現場で働く誰もが一度は経験するであろう内容ばかりですので、役立つQ&Aになっています。

 次頁に本書掲載の1題(抜粋)を紹介します。

 

Q 死別時に家族全員がひどく動揺してしまっていた状況の中、看護師の自分は何もできませんでした。どうすればよかったのでしょうか?

 

A  家族がひどく動揺しているときには、看護師であっても何もできないでしょう。しかし、思いを伝えられる言葉や、家族の心に残る態度があります。もしあなたの職場の援助体制が整っていれば、「誰かに話を聴いてほしかったり、自分の気持ちをわかってほしいと思ったときは、いつでも連絡をください」などの申し出をしてみてください。そういった申し出は、家族には大変心強いものです。

 フォローする言葉では、そのままの飾らない、思ったままの自分の言葉を残しただけでも心が伝わります。例えば「なんと申し上げたらよいか…」「喪失は大変な体験ですので、とてもつらく、悲しみも深いと思います。悲しみを閉じ込めず、心ゆくまで涙を流してください」などといった言葉です。

 また家族は、感情のはけ口を求めていることがあります。回答を求めているのではなく、話の「聴き手」を求めているのです。そのような際は「何か気になっていることがあればお話しいただけますか」といった語りかけも有効です。

 

●著者の言葉①

宮林 幸江

(自治医科大学看護学部教授、日本グリーフケア協会会長)

 死別の悲しみとは、情熱的な悲哀感とは異なり、長年にわたって抱いてきた人生観に加え、倫理観すら打ち壊すため、安定性を失ったことへの悲しみと嘆きが含まれた世界観の喪失です。誰もが通る道ですが、情緒・認知的な反応、行動反応、身体反応が混在して含まれますから、よい対処法がないのが難しい点です。そのため本書を通じて、愛する人の死を経験した方に、「死別の経験とはこのようなことか」「助かった。こう考えても異常ではないんだ」と安堵をもたらすことができればと思っています。死別自体が自己に降りかかって初めて「死別の様相」を理解することになるものです。また、本書では、これまで明確化を試みてきた日本人の悲嘆反応とその関連の研究結果についてわかりやすさを第一として執筆を試みました。

  (本書「はじめに」より抜粋)

 

●著者の言葉②

関本 昭治

(日本グリーフケア協会理事、日本産科婦人科学会功労会員)

 2011年3月11日以降、福島市に住む著者の身の周りは惨憺たるものであった。ある日突然、携帯電話が鳴り、知人がこれからどうなさるつもりかと問う。その意味を問い返すと、テレビを観るように言われた。そうか、停電は解消したのか、とテレビをつけてみた。音こそ聞こえないものの、福島県浜通りにある福島第一原発の建屋の屋根が吹っ飛んでいる最中であった。(中略)

 宮城県石巻市には、日本グリーフケア協会の研修修了会員がおられる。ご両親を津波で失い、わざわざ隣県の米沢市で荼毘に付したとの連絡をいただいた。ご両親を水中から探し当てたときの水の冷たさの不思議な印象を述べられていた。彼は失った地域の絆を再興するため、あの水の冷たさを温かみに変えるために、グリーフケアを地域で行いたいと述べられている。協会も全力を挙げて協力したい。

(本書「おわりに」より抜粋)

 

-「看護」2013年2月号「SPECIAL BOOK GUIDE」より –

 

 

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