当社おすすめ書籍を、新刊・既刊・古典織り交ぜてご紹介!!
看護や医療をめぐる最新かつ重要な話題をワンテーマで簡潔に発信していく新しい媒体です。
薄くて手にとりやすく、面白いと評判のシリーズです。
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特定行為研修を修了した看護師が、広く現場で活躍しています。同研修を修了した認定看護師には大きな期待が寄せられ、すでに多様な場で活躍がみられます。他方、「修了者を十分活用できていない」との管理者の声も聞かれ、マネジメント面での課題が指摘されています。看護管理者には、どのような役割とマネジメントが求められているのでしょうか? これに応える本書の内容の一部をご紹介しましょう。
2025年の高齢化率は30%に達すると予測されていますが、それは加齢性難聴の高齢者数の増加も意味します。「聞こえのしくみ」から、「加齢性難聴の予防」「補聴器を用いた聴覚トレーニング」「聞こえにくさを抱える方とコミュニケーションをとる際の工夫」までを解説する本書を、在宅看護・老年看護の教育・研究に携わる梨木恵実子さんにお読みいただきました。
書評『「聞こえにくい」をほっとかない』
群馬大学大学院保健学研究科看護学講座助教
老人看護専門看護師
梨木恵実子
私たち看護師は、どのように看護計画を立案し、ケアを行っているでしょうか。症状を聞く、薬について説明する、トイレ誘導時に声をかける……ごく自然にコミュニケーションをとりながら、情報収集やケアを実施しています。しかしそれは、相手に「聞こえの力」があることが前提です。聞こえに問題がある場合、説明やケアの場面で苦慮した経験のある看護師も少なくないと思います。
本書を読んで強く感じたのは、“私は相手の「聞こえの力」を維持する・高める関わりをしてきただろうか!? ”ということでした。
筆者は、訪問看護師としても活動を続けており、難聴の高齢者に出会うことも多く、声量やスピードなどを意識して話しています。しかし、その高齢者は、看護師がいない時間はどのように過ごしているのでしょう。外まで聞こえる大きな音でテレビを観ていたり、「電話の声は聞き取れない」と電話に出ることをあきらめていたり、「耳が聞こえにくいからと詳しく説明してもらえない」と怒りや悔しさを感じていたりするかもしれません。
看護師の役割は、日本看護協会が表明する看護の将来ビジョンのとおり、「いのち・暮らし・尊厳をまもり支えること」です。聞こえにくさを抱える人の生活全体を想像すれば、その時々の会話の工夫以外の支援も重要なことがわかります。
では、看護師に何ができるのでしょうか。まずは難聴について正しく理解することだと思います。本書では、難聴の要因や治療、補聴器を使ったトレーニング方法、認知症との関連などが、わかりやすく紹介されています。「聞こえにくさ」を加齢のせいだけにしない、可逆性への光を感じました。最も衝撃的だったのは、「難聴状態が続いた脳には、静けさの世界から音のある世界に慣れるまでの時間が必要」という事実です。補聴器が価値あるものになるかどうかは、支援者の関わり方次第です。その支援プロセスも知ることができます。看護師には、ケアを通して本人の聞こえにくさに気づける強みがあります。その変化を捉え、地域にいる医師などの難聴の専門家に繋ぐ・繋ぎ続ける方法も、本書は教えてくれます。
今後、聞こえにくさを抱える人への看護は確実に増えていきます。聞こえにくさはQOLに影響し、認知症の発症リスクでもあるため、“ほっとかないで”早期から介入することが重要です。本書をひもとき、看護師として「明日からできる!」ことを増やしていきましょう。
エビデンスにもとづく看護(evidence-based nursing:EBN)の国際拠点であるJoannna Briggs Institute(JBI)が集積する世界標準のベストプラクティス集、『JBI:推奨すべき看護実践〜海外エビデンスを臨床で活用する』の刊行を記念して、JBIより日本看護協会の会員の方々に向けてメッセージをいただきました。