早いもので今年も残すところあとわずかです。
いつもは忙しくて、本を読む時間も気力もない……という方でも、年末年始は比較的ゆっくり過ごせる、ということもあるかもしれません。
年の初めに、新たな気持ちで「看護の原点」について振り返ってみてはいかがでしょうか。
※これまでの「編集部オススメBOOKs」はコチラ
早いもので今年も残すところあとわずかです。
いつもは忙しくて、本を読む時間も気力もない……という方でも、年末年始は比較的ゆっくり過ごせる、ということもあるかもしれません。
年の初めに、新たな気持ちで「看護の原点」について振り返ってみてはいかがでしょうか。
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これからの臨床には“自分の頭で考え実践できる”看護師が必要との思いから、『新人・学生の思考力を伸ばす指導』を上梓した阿部幸恵さんに、教育/指導に関する現状の課題や、看護師の思考・行為を言語化する重要性についてうかがいました。
アメリカの看護理論家ヴァージニア・ヘンダーソン(1897〜1996)の看護理論を学生時代に学んだという方は多いでしょう。2016年はヘンダーソンの没後20年、2017年は生誕120年であり、これを記念して弊社ではヘンダーソン関連の書籍を新装および再編集して記念出版する予定です。
その第1弾として、2016年12月に『看護の基本となるもの』を10年ぶりに新装し、刊行いたしました。原著の初版は1960年、邦訳の初版は1961年、それから半世紀以上、看護師たちに連綿と読み継がれてきた本書の生まれた背景とその後の変遷をご紹介します。
両手でやさしく、ゆっくりとした動きで背中や手足に触れる「タクティールケア」。認知症の人をはじめ、あらゆる人を“心地よく”させるこのケアは、肌と肌の触れ合いによるコミュニケーション方法でもあり、ナース自身も癒される、まさに“看護の原点”に立ち返れるケアといえるでしょう。そのタクティールケアの第一人者である木本明恵さんに、入門書としての本書の活用法などをうかがいました。
■急性期病院での事例も加えて“書籍化”
───本書は、訪問看護師・施設看護職向け専門誌『コミュニティケア』2014年11月臨時増刊号「手で“触れて”痛み・苦しみを緩和する はじめてのタクティール®ケア」が大変好評で“完売”したため、全ページ細部を見直し、新たなパートも加えて、Community Care MOOK シリーズの1冊として書籍化されたものです。具体的に、どのような追加をされたのでしょうか?。
今回、追加した新たなパートは5点あります。まず、タクティールケアのセミナーなどで“よく聞かれる質問”を10点ピックアップし、イラストとともに解説しました。「タクティールケアはどのくらいのペースで行うか?」「車いすに座ったままケアを行う方法は?」など、かゆいところに手が届くポイントを紹介しています。
次に、タクティールケアの実践報告が豊富に掲載されている[第4章]において、「救命救急センター」「高次脳機能障害専門クリニック」「鍼灸院」の3つの事例を加えました。特に鍼灸院の報告は、ナースであり鍼灸師である石部春子さんからの報告なので、看護と鍼灸、両方の視点からタクティールケアの効果が論じられており、とても興味深い事例となっています。
そして、私の看護学校時代の後輩でもある元訪問看護師の永井香さんが関節リウマチ患者となったのですが、彼女にタクティールケアを行ってみたところ、とても効果があったため、その経験を報告していただきました。彼女の「ナースだからこそ感じとるタクティールケアの効果」の言葉に、私も新たな気づきを得ることができました。
───救命救急センターは、急性期病院の中でも特に時間に追われる場所ですよね。そんなところでもタクティールケアができるのですか?
その事例は静岡の磐田市立総合病院の認知症看護認定看護師・鈴木智子さんが報告してくれています。もう、これは“百聞は一見にしかず”で、ぜひ本書を読んでみてください! 鈴木さんからは「触れるケアを通して患者さんとナースの関係構築が促進されて、せん妄改善や疾患回復につながるんです」と喜びの声が語られています。急性期の場でも、病棟全体で取り組むことでタクティールケアが可能になる素晴らしい事例です。
■タクティールケアの“驚くべき効果”をぜひ感じてほしい
───では次に、総監修者として、本書の“オススメ”ポイントをぜひ教えてください。
そうですね、最初からいきましょうか。まず、[巻頭カラー]です。介護付き有料老人ホームでタクティールケアを導入しているところのルポと、その後の本文で詳しく解説される「背中・手・足のタクティールケア」の方法がダイジェスト版で紹介されています。ここはやはりカラー写真ならではの臨場感を味わってほしいです。
[第1章]タクティールケアの意義では、パーソンセンタードケアとしてのタクティールケアをはじめ、なぜタクティールケアが今求められているのかを、認知症看護にも詳しい浜松医科大学医学部看護学科の鈴木みずえ教授が解説しています。タクティールケアのエビデンスが明らかになっている必読の章です。
[第2章]医師から見たタクティールケアの可能性では、タクティールケアを実践する2人の医師が、その効果と可能性について医学的見地から解説してくれています。
[第3章]タクティールケアの基礎知識では、私が、タクティールケアの始まり・特長・効果・活用例を解説し、その後、豊富な写真とともに「背中・手・足のタクティールケア」の実際の方法を紹介しています。タクティールケアの本当のスキルは、やはり研修で学んでいただきたいのですが、ここに紹介した方法を、患者さんや利用者さんに見よう見まねで試みていただくだけでも、きっと変化が起こると思います。まず、家族にしてみていただいてもよいですね。
[第4章]タクティールケアを実践してみては、本書で最もオススメの章です。先ほどの急性期病院等のほか、小児科クリニック・精神科病棟・訪問看護ステーション・高齢者ケア施設など13施設での実践が、詳しく報告されています。どの報告でも“触れる”だけで得られる、タクティールケアの驚くべき効果が語られています。
―最後には木本さんの尊敬する川嶋みどり先生からの寄稿もありますね。
はい、川嶋先生は「看護の基本は“手当て”にある」と、手のケアの有用性をずっと指導されてきました。その川嶋先生にタクティールケアの可能性を示唆していただいているので、私も自信を深めることができました。
タクティールケアのいちばんのよさは「リスクがほとんどないケア」であること。だから、本書を参考にして、まずチャレンジしてみていただきたいと思います。
今シーズンのインフルエンザは例年よりも流行の開始時期が早く、悩まされた方も多いと思いますが、ようやくピークを超えつつあるようです。とはいえ、まだまだ警報レベルの地域も多く、油断は禁物です。
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