暮らすことの苦労、働くことの苦労

文と写真:森 淑江

 

ネパールで初の看護師国家試験実施(JICAネパール事務所、新関調整員撮影)

このコラムのタイトルは「海外でくらす、はたらく」ですが、現在の私の本拠地は日本にあります。長期間海外で「くらす」生活はなくなりましたし「はたらく」ことも出張程度ですが、昨年は9回海外に出て合計すると3カ月間、1年の4分の1は日本の外で暮らしていたことになります!
 
過去には長い時では4カ月間、日本を留守にしていたことが2回ありましたが、さすがにその時は大丈夫か?と内心思いつつ「(大学がどこまで許してくれるか)限界に挑戦」と、周囲には笑い飛ばす振りをしていました。思うに、十分に成果を上げて「はたらく」ためには、どこでどのように「くらす」かが大事です。

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本人の責任に基づく医療のかたち

文と写真:木下澄代
 

病室に備えられているロッカーには100℃の高温で選択できる衣類やタオルが常備されている。

 

デンマークでは入院に必要なものは保険証(イエローカード)と歯ブラシだけ。というのも入院に必要な費用も必要品も現段階では予定入院、緊急入院にかかわらず公が負担するからです。入院中には食事・ケア・検査・診断・治療・費用はもちろん、薬代も本人負担はゼロ。タオルや下着なども、高温で洗濯できる木綿のものが病院に用意されています。

 

もっとも、病院に入院中は、末期の患者など症状が悪いためにベットから動けない患者や、手術直後で麻酔からすっかり覚めていない患者などを除き、昼間は自分の服に着替えるので、病院に用意されている衣料品を使用することはありません。オムツなども必要品なので無料で提供を受けることができます。
 
福祉機器も、入院中はもちろん退院後でも短期間なら病院が、長期に必要であれば患者が住むkommune(日常生活に一番近い自治体の単位)が貸し出してくれます。そのための自治体間の連絡・支援ネットワークが機能しているのです。

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INR臨増号『看護における社会学的アプローチと実践』刊行!

 編集協力者の1人、細田満和子氏は弊社の書籍『「チーム医療」の理念と現実』(『「チーム医療」とは何か』に改題・改訂 http://goo.gl/dmqZd )の著者であり、 医療社会学者として、公共的な視点で医療専門職の協業や患者の医療参画のあり方を追求されています。

 

日本では公衆衛生と訳されるパブリックヘルスという言葉について、細田氏は自身の米国での研究活動や市民生活の経験を経て「みんなの健康」という社会的実践につながるキーワードで再定義されています。『パブリックヘルス 市民が変える医療社会』 http://goo.gl/T5pfw

 

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INR原著論文クリティークより(155号)

本誌では、154号より「International Nursing Review」(オリジナル誌)の原著論文を、翻訳だけでなく日本の看護学研究者によるクリティーク記事と合わせて紹介しています。詳しくは こちら をご覧下さい。

 

4月1日発売(すでに書店などで入手可能)の今号で取り上げた論文・クリティークの中から、評者のお一人、増野園惠先生(兵庫県立大学)ご担当のクリティーク記事の「advice」項目で書いていただいた解説文をご紹介します。レビュー論文のクリティークをめぐってお感じになったことや、取り組む際の留意点などに触れてくださっています。こちら(p.30「Advive」より)


 

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155号クリティーク記事「Advice」より

 

 

INR日本版155号(4月1日発売)に掲載された翻訳&クリティーク記事より、評者・増野園惠先生ご執筆の「Advice」部分を、以下にご紹介します。

 


伝統的な中国の看護の紹介:概念・理論・実践についての総括的レビュー〈Hao Y., et al. (2011) Introducing traditional Chinese nursing: a review of concepts, theories and practices. International Nursing Review 58(3), 319-327〉

 

評者:小坂裕佳子・増野園惠

 

Advice:

 

今回の論文クリティークは、筆者と若手研究者らとで行う論文抄読会の第1回目で取り上げられ検討されたものである。この抄読会のメンバーは、看護システムマネジメントに関心を持っており、この分野の研究動向や研究手法への理解を深めることを目的に集まっている。

 

しかし、メンバーの多くが基礎看護学、成人看護学、高齢者看護学、在宅看護学などの領域で看護基礎教育に携わっており、検討する論文のテーマは実際には非常に多岐にわたる。したがって、今のところテーマや研究デザインにはあまりこだわらず、見識を広められるよう、また互いに学びあう(メンバー同士、またクリティークを通して論文の著者から学ぶ)姿勢で取り組んでいる。

 

今回の論文も、この抄読会がターゲットとするテーマから少し外れた感はあったものの、伝統中医看護(TCN)の紹介ということで、タイトルと要約からは非常に興味を惹く論文に思われた。小坂も述べているように、全人的なアプローチや代替補完療法に対する関心が高まる中、どの看護実践分野においても実践に新たな視点を与えてくれるのではないかと期待があったからである。

 

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