「病棟から在宅につなぐ緩和ケア」です。
厚生労働省の緩和ケア推進検討会では、患者が退院後も緩和ケアを受けるための地域医療連携体制の構築という課題が現在でも議論されています。緩和ケアは病院だけで行われるものではなく、診療所や訪問看護・介護などのネットワークがあってはじめて実現します。特集では、緩和ケアの対象となる患者が在宅に移行する際にどのようなケアが求められているのか考えます。後半では6つの誌上コンサルテーションを掲載いたします。
監修:
宮下光令
(東北大学大学院医学系研究科教授/日本緩和医療学会理事)
福井小紀子
(日本赤十字看護大学教授/日本サイコオンコロジー学会理事)
退院支援と在宅ケアの現状
佐藤一樹
(東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野助教)
宮下光令
退院支援における意思決定支援の重要性
福井小紀子
在宅に移行する際に必要な視点
①一般病棟の看護師が行う退院支援
山岸暁美(浜松医科大学医学部看護学科/地域看護専門看護師、社会福祉士)
②ケアの継続性、治療の変更や調整
杉田智子(淀川キリスト教病院/緩和ケア認定看護師)
③院内(病棟・外来・退院調整部署)との連携―理想的なあるべき像
鈴木樹美(東京大学医学部附属病院地域医療連携部)
④退院前カンファレンスをどう企画し運用するか
吉原律子(長崎県立大学看護栄養学科/「在宅医療・福祉コンソーシアム長崎」特任准教授/OPTIM長崎拠点 元長崎がん相談支援センター)
⑤院外(診療所・訪問看護ステーション・ケアマネジャー)との連携、介護保険
玉井照枝(東北公済病院なんでも相談室)
⑥在宅チームで支える緩和ケアの実際
―在宅チームが病院看護師に期待すること
佐藤千津代(四国大学看護学部講師)
困難事例の誌上コンサルテーション
1 症状コントロールが難しいケース
山田彩華
(日本赤十字社医療センター/がん看護専門看護師)
2 緊急時の対応に不安なケース
服部絵美
(白十字訪問看護ステーション所長)
3 家族介護力が低く、地域のインフォーマルサービスを活用し在宅療養移行したケース
林 弥生
(東邦大学医療センター佐倉病院看護相談室)
4 治療や療養場所に関する意思決定に支援を要したケース
角川由香
(東邦大学医療センター佐倉病院看護相談室)
5 在宅チームの受け入れがスムーズにいかない(在宅側の窓口が不明瞭な)ケース
竹森志穂
(聖路加国際大学大学院博士後期課程/地域看護専門看護師)
6 病状が急速に進行し、疼痛やせん妄の症状コントロールが十分にできていない患者が退院を強く希望しているケース
腰原麻衣子
(日本赤十字社医療センター/がん看護専門看護師)
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