ナースたちが退院支援の仕組みをつくり、うまくいっている病院の実践事例を1つ取り上げ、「意思決定支援」と「自律支援」*)を軸に病棟ナースと在宅ナースがそれぞれの実践を振り返ります。加えて管理者から仕組みづくりの経緯とその内容をうかがいます。
[監修]
宇都宮 宏子 (在宅ケア移行支援研究所 宇都宮宏子オフィス)
[筆 者]
鈴木 加代子(整形外科病棟副看護師長)
高井 隆子(ケアーライフタイヨウケアマネジャー)
稲垣 根子(整形外科病棟看護師長)
今月の病院
国立病院機構三重中央医療センター
事例紹介
N さん(70代後半/女性)
既往歴:高血圧・心房細動・バセドウ病
畑で足をひねり、歩きにくい状況で自宅にて転倒し、右大腿骨転子部を骨折した。Nさんは息子夫婦と小学生の孫3人の6人暮らし。入院時、Nさんは「これまで通り自宅で暮らしたい」、家族は「入院前と同様にシルバーカーを使用して歩けるなら、自宅へと考えている」と話していた。入院翌日に脳梗塞を発症、その後、骨折に対する手術を施行したが、退院を目前に縫合部の表層感染により退院が1週間遅れとなった。しかし看護師・理学療法士・医師・ケアマネジャーの連携で、自宅の準備も整い、自宅へ帰ることができた。