コンサルテーションを看護に活かす

新連載(1)

コンサルテーションとは

 

野末 聖香

 

 

医療が高度化し、人々の価値観が多様化している現代において、1人ひとりの患者に沿った看護を実践するには、さまざまな専門性を持つ看護職間で、また多職種間で連携し、異分野の知識や技も柔軟に取り入れながら、個別的で統合的な支援を提供することが求められます。その実現のためには、連携し、協働する力を身につけることが必須であり、連携・協働の形の1つが、本連載で紹介する「コンサルテーション」です。
これから3回にわたり、看護においてコンサルテーションがなぜ有用なのか、その定義、目的、方法、留意点などについて、事例を交えながら述べていきます。

 

看護における「コンサルテーション」とは
看護において「コンサルテーション」という言葉は馴染みが薄いかもしれませんが、日本語で言うところの「相談」です。私たちがあまり意識することなくしばしば行っている行為であり、これを構造化したものがコンサルテーションです。コンサルテーションとは、ある一定の事柄についての専門家であるコンサルタントが、その事柄についての非専門家であるコンサルティから実際的な問題について相談を受け、その問題を改善・解決するために、コンサルティの知識・技術を助長するよう側面的援助を行うこと、と定義できます1)。コンサルタントが一方的にアドバイスしたり教えたりするのではなく、コンサルタントとコンサルティがともに問題の明確化と問題解決に向かう協働のプロセスです。
看護においてコンサルテーションという機能が役割として明確に位置づけられているものに、専門看護師(Certified Nurse Specialist;CNS)があります。私は30年ほど前、アメリカのある大学病院でクリニカル・ナース・スペシャリスト(Clinical Nurse Specialist;CNS)の実践を学ぶ機会を得ました。その体験を通して、CNSは、日本の看護の質を高めるための仕組みとして有用であり、その鍵の1つがコンサルテーションであると確信しました(私はその後、CNSとして実践し、現在はその育成に携わっています)。
もちろん、看護におけるコンサルテーションは、CNSの専売特許ではありません。認定看護師や看護管理者なども、看護師の相談に乗ることがしばしばあります。そのようなとき、相談する側も、される側も、コンサルテーションについて共通理解した上で臨めば、相談をより効果的に展開することができます。

 

続きは本誌で(看護2024年2月号)