【SPECIAL BOOK GUIDE】会議・カンファレンス運営の悩みを解決!『チームを成長させる 会議・カンファレンス35のスキル』が刊行

本誌好評連載「ワンポイントレッスン チームを成長させるカンファレンス」で紹介したスキル等がまとめられた『チームを成長させる 会議・カンファレンス35のスキル』が8月に刊行されました。連載・書籍の制作に先立って、弊社の「メールインフォメーション」★1のご登録者を対象にアンケートを実施したところ、院内での会議・カンファレンス運営に関するさまざまなご意見をお寄せいただきました。ここでは特に多かった「悩み」をいくつか取り上げながら、本書の内容を一部ご紹介していきます。

 

 

 

●「誰も発言しない」

 

アンケートの「会議・カンファレンス運営の知識・スキルが必要だと感じるのは、どんなときですか?」という質問でよく目についたのが、「意見が出なくて、発言を引き出したいと思うとき」「看護学生の実習時、カンファレンスで意見が出ず、ディスカッションできないとき」「みんなが意見を言いやすい雰囲気づくりが必要だなと思うとき」といった回答でした。本書では「Chapter I 基本編:01 安心して発言できる場づくり」でこの問題について解説しています。以下その一部を抜粋します。

 

『〜たとえば、机と椅子の配置はお互いの顔が見える凹スタイルとし、席順はヒエラルキーなど序列を意識させないように工夫します。また、(本書の)26ページで紹介している“アイスブレイク”を冒頭で取り入れるのもおすすめです。文字どおり“氷のように固まった人の心や気持ち”を溶かし、雰囲気を和ませるようにします。また、時間が許せば自己紹介では所属や氏名を述べるだけでなく、参加者が知る“本人のエピソード”を盛り込んでもらいます』。本書ではこのように「参加者が発言しやすい場づくり」のために必要なノウハウを詳しくご紹介しています。

 

●「議論が本題からズレる」

 

これも多くの回答者が挙げています。たとえば「会議やカンファレンスの方向性がずれそうになったとき」「テーマがそれてしまったり、時間ばかりかかって中身がない会議が多いとき」「時間が長い、話が脱線するとき」など。こうした場合には「Chapter II 司会者編:16 発言のねじれ・論点のズレ、長い発言、特定の発言者への対応」が参考になります。

『〜限られた時間ですべての参加者に発言を保障するためには、事前にカンファレンスの参加ルール、いわゆる共通ルールを示しておくことで、カンファレンスを効率的に運営できるだけでなく、参加者の気持ちも楽になります。(中略)たとえば、①発言は短く、②全員が発言する、③違う意見を受け入れる、④否定する場合は代替案を提示するなどです』

『〜発言がねじれたり、論点がそれてしまった場合は、司会者が発言の要所要所で要約し、それらを確認したうえで軌道修正を図るなどの舵取りが必要です。話が長くなってねじれている場合は、箇条書きにして短い文章に整えます』

 

●「意見が対立する」

 

特に悩ましい問題ですね。本書では「コンフリクトマネジメント」という観点から解決策を探っています。興味深いのは、「意見の対立」はチームにとってプラス面にもなる、という考え方です。メンバーそれぞれの価値観や判断基準の違いをうまく活用することで、多面的な視点で物事が見られるようになるからです。「Chapter II 司会者編:19 意見の対立〜コンフリクトマネジメントのスキル」に掲載されている、図「コンフリクトの解消方法」は、意見の対立を解決するための4つのステップを整理したものです。

 

 

 

●「議論の収拾がつかない……」

 

議論をまとめたり、意見を集約することは、ファシリテーターや司会者の技量が最も試される場面です。アンケートでも「他職種との議論で方針をまとめる場面」「自分が司会になったとき、目的や目標などを伝達し、会議終了までに目標達成するのが難しいとき」「解決が必要な内容を明確にして、解決方法を具体的にするとき」に、スキルの必要を痛感する人が多くみられました。

 

本書では「Chapter II 司会者編:11 展開のイメージづくり〜フレーミングのスキル」「同:15 論点整理から方向づけ、収束させる〜合意形成」「同:22 カンファレンスのまとめ方〜構造化のスキル」など複数の項で、1つひとつの問題とその対応の仕方を論理的に解説しています。フレームワークを用いた議論の構造化には幅広いスキルがありますが、これには「見える化」の概念が非常に重要であり、「Chapter IV 記録編:34・35フレームワークの使い方①・②」で、ロジックツリー図、サークル図、マトリクス図などの具体的な手法を紹介しながら詳しく解説しています。

 

そして、こうしたスキルの活用の先には「議論から得たことを組み合わせて、一回り大きな知をつくる結晶化」というプロセスがとても重要であることを著者は強調しています。『〜なかなか難しいプロセスですが、ここまでに紹介した司会者のスキル、すなわち「要約」「言い換え」「発言と発言をつなぐ」「論点整理から議論を方向づけ、収束させる」の延長線上にあるもので、これらを積み重ねて、一回り大きな知見を創り出します。その日のカンファレンスの最終成果物でもあるため、事前準備が困難』なことから、チームのリーダー・管理者としてのその場での対応力や臨機応変さが求められます。そこで最も重要なのが「参加者の生の声を大切にしながら抽象化していく作業」です。

 

以上、本書が最も伝えたいことは、その副題にもあるとおり、会議・カンファレンスを通して「チームを成長させる」ことです。会議・カンファレンスは司会者・ファシリテーターが主役なのではなく、参加者みんなでつくり上げていくものです。ぜひとも本書を職種や役職を問わずチーム全員で活用するコミュニケーション・ツールとして役立てていただければ幸いです。

 

★1 メールインフォメーションのご案内(https://jnapcdc.com/archives/5804)

 

 

新刊情報

チームを成長させる
会議・カンファレンス35のスキル

 

篠田道子 著
●B5判 96ページ
●定価 2,090円
(本体1,900円+税10%)
ISBN978-4-8180-2589-9
発行 日本看護協会出版会
(TEL:0436-23-3271)

 

 

 

 

 

 

 

 

ファシリテーターと参加者がみんなで学ぶ、幅広いコミュニケーション・スキルの実践書!

 

当社のロングセラー書籍、『チーム連携力を高めるカンファレンスの進め方』の著者が、看護・福祉職の声を集めて得られた課題を整理。司会・ファシリテーターと参加者に求められる35のコミュニケーション・スキルをそれぞれ簡潔に解説しました。病棟の看護カンファレンス・多職種カンファレンス・地域ケアで利用者・家族も参加する担当者会議など、幅広い場で役立つノウハウが満載!

 

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→続きは本誌で(看護2023年10月号)