SPECIAL BOOK GUIDE Nursing Todayブックレット14 『#生理の貧困』 関連企画 「生理の貧困」に関するアンケート結果

昨年来「生理の貧困」という言葉を耳にすることが増えてきました。言葉の印象から経済的な問題と思われがちですが、実際は虐待、性教育の不足、ジェンダー問題、社会格差などさまざまな要素が複雑に絡んでいます。またウイメンズヘルス領域の問題であるものの、生理の貧困状態にある人をどうやって見つけ出し、どのように支援すればよいかわからない、という声も聞かれます。

 

ここでは昨年末に弊社が実施した「生理の貧困」に関するアンケート結果をお伝えします。

 

▶回答者の属性(n=102)

 

 

▶生理の貧困問題について関心がありますか

 

 

▶「ある」と答えた方にお聞きします。

 どのような点について関心がありますか?(複数回答)

 

 

▶ご自身の職場や学校、家庭などで「生理の貧困」問題が話題に

 なる・なったことがありますか

 

 

▶生理の貧困」に対して看護職ができることがあると思いますか

 

 

 

▶ 「ある」と答えた方へ。どのようなことができるとお考えですか(自由回答)

   

[教育/性教育]

  • 性と生理についての正しい知識の情報発信。
  • 小学生から成人まで各期に応じた性教育。
  • 女性特有の体の機能について、女性の月経周期に起こり得る身体
  • 的・精神的・社会的な変化やつらさ、女性であるからこそ抱える問題などの教育。
  • 性教育が恥ずかしいと感じないような啓蒙活動。
  • 生理について困っていることを言葉で伝える権利があることを伝える。
  • 生理の貧困に悩む若者に、貧困から抜け出す方法─お金の使い方や管理方法、社会資源、相談先など─について情報提供する。

 

[相談/情報提供]

  • 相談できる場、語れる場づくり。
  • 病院受診時に気になる人がいたら声をかけ、話を聞く。何に困っているのかなど、状況を確認する。
  • ケアの中で情報収集し、MSWや関連施設などと連携をはかり、問題解決につなげる。

 

[社会・地域への情報発信、啓蒙活動、提言]

  • 生理が及ぼす身体的影響やメンタルヘルス、清潔な物品を使用する必要性などを社会に発信し、社会が何らかのサポートを行うための動機づけにつなげていく。
  • 病院や公民館、図書館、ショッピングセンター等の一角に生理の知識を深めるコーナーを設置する。
  • 生理を正しく理解する必要性を身近な人々に伝えていく。
  • まずは自身の職場から意識を変えていく。
  • 生理を恥ずかしいことと思わなくてもよい社会づくりへの関与。
  • 男女の支出の差(生理に関する出費)について現状を把握し、政府に働きかけていく。

 

▶ 「生理の貧困」について思うことはありますか

 

[社会全体で取り組む必要性]

  • 生理の貧困問題の解決は女性の社会進出にとても重要だと思う。
  • 女性の権利として、生理用品を受給できる社会システムなどが必要だと思う。
  • 日本の貧困が発端。誰からも手を差し伸ばしてもらえない人がいることを認識するべき。
  • このような現状があることに真剣に向き合い、対応できる政治、社会となることを期待したい。
  • 「生理の貧困は個人の問題」では解決できない、今の日本社会の問題でもある。国や地方自治体は担当部署を設けて取り組む必要があると思う。
  • 狭義での生理の貧困ではなく、広義での生理の貧困への仕組みが国レベルで構築されていくことを希望する。また、生活の質の保証として、全世界の女性が生理による苦痛や悩みを抱えなくてよいようになってほしい。

 

[タブー視をなくす]

  • 生理の貧困について、友だち同士で話題にするのは恥ずかしい。
  • 多くの人が「恥ずかしがらなくてよい問題」だと認識することが初めの一歩。
  • 「普通のことだけど」と言いつつ、タブーなイメージで職場でも話題にならない。というより、避けている。話題にできない雰囲気がある。

 

[意識するきっかけになった]

  • コロナ禍になり、今まで注目されてこなかった課題に目が向くようになったのではないか。
  • 社会問題になり、このようなことが起きているのかと愕然とした。
  • 以前スポーツの選手などで問題になっていたことが未だに問題になっているのに驚いている。しかし、社会全体のジェンダーの問題として捉えるようになり、進歩したと思う。

 

[お金を使う優先順位が違うのでは……]

  • 生理用品を買えない人がいることには着目しなければならないが、本当に買えないのか、「生理の貧困」ムーブメントの波に乗ろうとしているのかは、見極めないと、と思う。
  • スマホなどにはお金をかけるのに、200円程度のナプキンが買えないのはおかしい。自治体がナプキンを支給するだけで解決する問題ではない。

 

[その他]

  • 「貧困」という表現が適切なのか…が疑問。個々が抱えるさまざまな苦悩や問題がわかりやすく伝わる表現があるとよいと思う。
  • 「全国民中流」から気づけばいつの間にか「格差社会」になっており、非常に残念だと感じた。
  • まったく考えたこともない内容だったので、どういうことなのか興味をもった。

(アンケートは日本看護協会出版会がオンラインで実施した。回答期間2021年12月21日〜2022年1月10日、回答者数102名)

 

 

Nursing Todayブックレット14

『#生理の貧困』

 

#みんなの生理(福井みのり)、

ヒオカ、吉沢豊予子、田中東子、田中ひかる、河野真太郎 著

 

●A5判 64ページ

●定価990円

(本体900円+税10%)

ISBN 978-4-8180-2364-2

日本看護協会出版会

(TEL:0436-23-3271)

 

 

 

 

 

ハッシュタグ付ツイート「#生理の貧困」の反響は大きく、社会を一気に動かしたが、バッシングも多かった。経済面だけでない複雑な面をはらむ「生理の貧困」問題を考察。

 

 

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