災害に強いステーションづくり❻

訪問看護ステーションにおけるBCP(事業継続計画)の

策定、防災・減災対策のポイントを解説するとともに、

実際の事例などをとおして災害時の

対応・危機管理のあり方を示します。

 

 

 

BCPの策定手順③ 

STEP3 被害の想定

 

寺田 英子

てらだ ひでこ

災害看護専門看護師/認定看護管理者

 

 

今回は、事業継続計画(Business Continuity Planning:BCP)の8つの策定ステップのうち、「STEP3 被害の想定」について解説します。被害の想定では、予想される災害リスクを把握し、自ステーションにおける人的・物的被害を予測するほか、被害状況に応じた対応、つまり事業継続の可否の判断とその後の対応方法を考えます。

 

被害を想定する際の留意点は、「その地域で発生する可能性が高い災害による被害状況を踏まえて、できるだけ具体的に想定する」ことです。その理由は、具体的な被害想定から課題を明らかにし対策を講じることと、災害発生のイメージをスタッフで共有するためです。ただし、災害は想定通りにはならないと考え、厳密さを追及しないことがポイントです。

 

 

 

 

BCP策定におけるポイント

 

表1に示すように、ステーションの災害対応は大きく3つのケースに分類されます。このように被害の程度によって対応が異なるため、本来ならばケースごとに対応計画を策定する必要がありますが、ケース1については、ケース2の対応計画を応用すればよいので、まずはケース2・ケース3を想定したBCPを策定しましょう。

 

STEP3 被害の想定

 

被害を想定する際は、原因となる事象が何であれ、結果として起こる事象に着目した被害状況と対応を考えます。具体的には、災害の原因が地震であろうが洪水であろうが、「停電が3日間続く」「水道が停止し、復旧に2週間を要する」「道路の損壊により交通支障が発生する」などの状況を想定します。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2021年8月号)