SPECIAL INTERVIEW 『訪問看護が支える 在宅ターミナルケア』ターミナル期にある療養者と家族を支えるために、訪問看護師が知っておきたい実践的知識を網羅!

2015年刊行の好評書『訪問看護が支える がんの在宅ターミナルケア』を全面的に見直し・更新を行い、非がんに関する項目も加えて改訂・改題しました。執筆者である中島朋子さんと宮田乃有さんに本書の読みどころや執筆に込めた思いをうかがいました。

 

——本書は『訪問看護が支える がんの在宅ターミナルケア』の改訂・改題版ということですね。

 

中島 全国訪問看護事業協会では在宅のターミナルケアを重視し、1999年より「訪問看護ターミナルケア集中講座」の研修を実施しています。当協会はその内容を全国の訪問看護師と共有するために、2015年に『訪問看護が支える がんの在宅ターミナルケア』を発行しました。発行から5年が経ち、在宅ターミナルケアに必要な知識も増えたため、今回、全面的に内容の見直し・更新を行いました。非がんにかかわる項目も充実させたので、『訪問看護が支える 在宅ターミナルケア』と改題しました。

 

宮田 中島さんも私も当初より研修の講師を担当しており、改訂前の執筆にも参加しました。地域包括ケアシステムの下、「最期まで自宅で」という療養者・家族の希望をかなえるために、研修内容を年々充実させてきました。書籍の今回の改訂・改題をよいタイミングで行うことができました。

 

——今回の改訂のポイントや、ぜひ活用してもらいたい内容などを教えてください。

 

宮田 私は「第2章 ターミナルケアのキーワード」「第3章 ターミナルケアにかかわる法的知識」「第4章 在宅ターミナルケアのプロセス」を担当しました。第2章で追加した「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」が一番の改訂ポイントです。

 

訪問看護師は、今後ますます在宅療養者のケア・コーディネーターとしての役割が求められます。ACPの定義と支援する際の注意点は、ぜひ知っておいていただきたい内容です。
中島 ACPと在宅ターミナルケアのプロセスは、実践に活用していただきたいですね。ターミナルのそれぞれの時期(ステージ)に応じて必要なケアは変わります。また、その状況によって療養者の意思や意向を尊重し、「その人らしく生きる」ことをサポートしていくことが大切です。

 

——ACPはターミナルケアに必要な知識ですね。

 

宮田 ターミナルケアのプロセスの中でどのようにACPを行っていくか、できるだけ具体的にイメージできるよう努めました。先を見すえようとするあまり、心の準備の整っていない療養者や家族を追い詰めることのないよう、寄り添うアプローチが重要です。そのために本書を活用していただければと思います。

 

中島 家族にとっては大事な人を失くすという喪失体験ですが、丁寧なACPのプロセスを踏むことで納得した看取りにつながります。

——がん疼痛コントロールに関する知識は重要ですが、改訂で注力された部分はどこでしょうか。

 

中島 私は「第5章 在宅におけるがん疼痛コントロール」「第6章 在宅における症状緩和」を担当しました。

訪問看護師が「療養者の自宅=現場」で困らないように、的確かつ質の高いアセスメントを実践できることを意識して執筆しました。また、便利なツールや表などの資料をなるべく多く取り入れました。
特に第5章4節の「オピオイドの投与方法と副作用対策」のオピオイドスイッチングやタイトレーションの知識、中でも投与経路が変更になった際の薬剤の等力価換算は、現場で求められる知識です。

 

宮田 第5章5節の「在宅におけるがん疼痛コントロールの実際:初回訪問時のアセスメント」も、参考になると思います。疼痛コントロールのエキスパートが初回訪問時にどのような質問をし、どのようなアセスメントをしているのか、頭の中をのぞかせてもらっているようでおもしろいです。

 

——本書の魅力を一言で表すならなんでしょうか?

 

宮田 1冊に社会的な背景から在宅ターミナルケアに必要な基本的知識、薬剤の知識、ケアの技術、先進的な取り組みまで、網羅的に書かれているところです。

中島 「ここまで詳しく書かれている書籍は、今までなかった」という声をいただきました(笑)。

 

——最後に、在宅ターミナルケアに携わる読者へのメッセージをお願いします。

 

宮田 訪問看護師として在宅療養者の生命と生活、人生にかかわり療養者と家族を支える中で、ターミナルケアはその集大成となる支援だと感じています。たとえ短期間のかかわりであっても、「どのような人生を送ってきた人なのか」「どのような価値観の人なのか」に学ぶことが大切だと思います。その中で、自分の知識や技術を総動員してアセスメントし、「先導者」ではなく「少し先を照らす伴走者」として他職種とともにかかわらせてもらうことは、訪問看護師冥利に尽きるところです。

 

1人の人が最期まで生ききる過程に、1人でも多くの訪問看護師が寄り添い、支えとなれることを願っています。

 

中島 がん疼痛やターミナル期に発生頻度の高い症状のコントロールやスピリチュアルケアを、漠然と「難しそう……」と思っている人は多いのではないでしょうか?

 

本書を読み、ポイントを押さえれば決して難しくはありません。確かな知識と技術に裏打ちされたターミナルケアを提供し、療養者とその家族の伴走者となって寄り添い、その人らしく最期まで生きることをサポートする豊かな在宅ターミナルケアをともに実践していきましょう。

 

新刊情報

訪問看護が支える

在宅ターミナルケア

 

一般社団法人
全国訪問看護事業協会 編
●B5判 272ページ
●定価3,740円
(本体3,400円+税10%)
ISBN978-4-8180-2327-7
発行 日本看護協会出版会
(TEL:0436-23-3271)

 

 

 

 

 

 

[主な内容]

第1章 在宅医療の推進とターミナルケアの動向、そして訪問看護師への期待
第2章 ターミナルケアのキーワード
第3章 ターミナルケアにかかわる法的知識
第4章 在宅ターミナルケアのプロセス
第5章 在宅におけるがん疼痛コントロール
第6章 在宅における症状緩和
第7章 エンゼルケアの実践
第8章 意思決定を支える入退院支援:病院と地域の連携
第9章 看取りを支える町づくり

 

看護2021年7月号より

 

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