訪問看護ステーションの経営戦略(14)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

決算書を読める管理者になろう(2)
損益計算書

渡邉 尚之

 

皆さんは自分の訪問看護ステーションの決算書の一部である「損益計算書」を見たことはありますか? 損益計算書は1年間の経営成績を示すものです。そのため経営者や管理者は、自ステーションの経営成績を把握するために、これを理解することが重要です。

 

 

損益計算書
1年間の収入・費用・利益を示すもの

 

損益計算書は、大まかにいえば、1年間の事業活動を通じて①収入がどのくらいあったか、②費用が何にどのくらいかかったか、③そして①と②の差額として利益(または損失)はどのくらい発生したか、を表しています。実際のビジネスの流れに沿って作成されているため、自ステーションの動きを想像しながら売上や費用、利益の金額に着目すれば、比較的、理解しやすい計算書類です。

 

損益計算書では、売上高を出発点とし、そこから人件費や経費などのさまざまな費用を差し引いて、その結果(差額)として利益を算出します(表)。そのため、「収入-費用=利益」の計算式を意識して読むことがポイントです。

 

この売上高は、“本業の”売上高、つまり訪問看護事業によって直接的に生じた収入のみを指します。具体的には、訪問看護事業に基づく介護保険収入や医療保険収入、自費利用に基づく収入などです。預金利息による収入や臨時偶発的な助成金収入などは含まれません。

 

売上高から差し引いて算出する利益は、性質ごとに大きく4種類に分かれ、それぞれ営業利益・経常利益・税引前当期純利益・税引後当期純利益と呼ばれます。これらの利益の意味を理解することが、損益計算書を読みこなす上での最大のポイントです(図)。特に、1つ目の営業利益と4つ目の税引後当期純利益は重要なので、きちんと理解しておきましょう。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2019年3月号)