平成最後の年明けを皆さまはどのような思いで迎えられたでしょうか。今年最初におすすめするのは倫理をテーマにした書籍です。日本看護協会「看護者の倫理綱領」では、前文に「人々の生きる権利、尊厳を保つ権利、敬意のこもった看護を受ける権利、平等な看護を受ける権利などの人権を尊重すること」が謳われています。日々直面する倫理的課題の解決へのヒントがここに挙げた4冊からきっと見つかるはずです。
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著:小西恵美子
●A5/108ページ
●定価(本体1,600円+税)
2018年発行
ISBN 978-4-8180-2137-2
臨床で直面する様々な倫理的問題。
本書では考察の糸口として
「言葉」に着目しました。
「看護倫理とは、広義には社会のあらゆる倫理的な問題を看護の立ち位置で考え、発言することである」(ジョンストン)。本書は、看護職、理論家、作家、患者とその家族などが発した言葉から、看護職の目線で、言葉の文脈や背景に流れる倫理概念や倫理的問題を引き出し、帰納的に考えていきます。臨床現場において直面するさまざまな倫理的問題へ向き合う糸口となる書です。
編集:鶴若麻理・長瀬雅子
●A5/144ページ
●定価(本体1,600円+税)
2018年発行
ISBN 978-4-8180-2107-5
現場に溢れる違和感やジレンマと
どう向き合うか。14名のCNSによる
実践事例をもとに考察!
日常の臨床現場に溢れる、多くの違和感やジレンマ―倫理的課題に、医療者はどのように向き合えばよいのでしょうか。本書では、専門看護師(CNS)の役割の一つ、「倫理調整」を考察の糸口とし、14の実践事例を読み解きながら、そのヒントを探ります。どの事例も、現場でよく遭遇する状況を扱っていますが、疾患、地域性、経済状況といった事情に加え、関係者の価値観はさまざま。中でも重要な鍵となるのが価値観の対立で、アプローチに心を砕くCNSの姿が見て取れます。
「臨床倫理」というと難解なもの、敬遠したいものと感じる人も多いかもしれませんが、医療者は日々、患者へのケアを行う中で倫理的問題に直面しています。
本書では、臨床現場で倫理的問題になることの多い具体的な場面を取り上げ、医療者はどのように患者を“一人の大切な人”として尊重し、その人らしい生き方ができるようにサポートしていけるか、について考えます。
姉妹書の『急性期病院で実現した 身体拘束のない看護』も併せてご活用ください。
監修:杉谷藤子・川合政恵
著:医療人権を考える会
●B5/152ページ
●定価(本体2,000円+税)
2015年発行
ISBN 978-4-8180-1896-9
生活の場で直面する課題に
対応できる
“倫理的感受性”を育むために!
訪問看護を取り巻く環境はますます多様化し、現場の訪問看護師が利用者・家族等との間で、さまざまな倫理的課題に直面するケースは少なくなく、日々戸惑いや不安を抱えながらケアに従事している現状があります。本書で取り上げる15事例は“倫理”を焦点に、実際の訪問看護で生じる問題を扱い、各事例の解説では「モデル行動」を示し、倫理的にどのように対応すればよいのかについて考察します。日々の実践での活用はもちろん事例検討会や研修などの教材としても最適です。