看護の質を向上させるために、教育・臨床現場を変える制度・政策の成立過程を知り、参画することが、看護職者1人ひとりに求められています。
本書では、政策過程を初めて学ぶ看護職者でもわかりやすいように、看護制度・政策の基本的知識、政策過程の実際、参画方法を丁寧に解説しています。看護職者はもちろん、看護学生の学習にもご活用いただけます。
本書の内容をご紹介します。
■なぜ、看護制度・政策を学ぶのか?
本書は、看護制度・政策の基本的知識、政策過程の実際、参画方法を解説した入門書の第2版です。
なぜ、看護職者が制度・政策を学ぶ必要があるのでしょうか? それは質の高い看護の提供を実現するためです。
たとえば、看護の質を左右する看護職者の人員配置基準は制度によって決められています。よりよい看護を行うために人員配置数を増やしたいのであれば、制度そのものを変えていかなくてはなりません。
看護政策の実現は、現場の問題点を明確にし、その改善方法を考えることから始まります。そのため、現場で働き、その課題をよく理解している看護職者こそが政策過程に参画する必要があるのです。看護職者1人ひとりが制度・政策の成立過程を普段から学び、よりよい制度になるように現場の声を上げていくことが大変重要なのです。
■初学者がわかりやすく学べる構成
本書の大きな特長は、初学者がわかりやすく学べる構成になっていることです。
理論編(第1、2章)と事例編(第3、4章)に分かれており、事前の知識がなくても、この1冊で看護制度・政策の基本的知識、看護制度の成立過程の実際、制度が教育・臨床現場に与える変化などを学ぶことができます。どの章から読み始めてもわかるようになっているので、気軽に学習を始めてください。
特に事例編では、多くの看護制度・政策の成立過程について、看護職の国会議員らがさまざまな角度から分析しているので、理解を深めることができます。看護職者はもちろん、看護を規定する法制度を学びたいと考えている看護学生の方にもご活用いただけます。
■詳細な図表・資料で政策過程とデータが見える
図表や資料を豊富に掲載していることも本書の特長の1つです。詳細な解説とともに示されるデータや資料は、政策過程のダイナミックな動きや現場への影響を浮き彫りにし、理解を深めるのに役立ちます。わかりにくい印象をもたれがちな制度・政策も、データで見ることで学びやすくなるはずです。
また、看護の制度・政策をより身近に感じられるよう、コラムを充実させました。国会議員の1日や看護職者の政策過程への参画の実際など、普段は知ることのできない豆知識を得ることができます。
資料「あなたも行動してみましょう」では、看護政策に関するアンケート結果を紹介しています。この資料を参考に、働き方や仕事環境について普段考えていることを表明してみてください。それが政策過程への参画の第1歩となります。
■制度・政策を学び、看護の未来を考える
第2版では「卒後臨床研修の努力義務化と大学化の促進」「特定行為研修の制度化」など、近年成立した制度と現場への影響を新たに取り上げ、解説を加えました。
新たな制度とその成立過程を知ることで、看護や社会の最新動向を把握できます。そしてそれは、看護職者が現在の仕事を見つめなおし、将来進む道を明確にするのに大いに役立つはずです。
制度・政策を知ることは、看護そして看護職者自身の新たな未来につながるのです。
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看護の制度・政策は、看護職者の日々の業務に密接にかかわり、現場で働く1人ひとりがつくり出していくものです。そして看護制度・政策を知ることは、看護のよりよい未来を創造していくことなのです。
質の高い看護の提供を実現するために、ぜひご一読ください。
『看護職者のための政策過程入門 第2版
制度を変えると看護が変わる!』
見藤隆子・石田昌宏・大串正樹・北浦暁子・伊勢田暁子 執筆
●B5判 152ページ
●定価(本体1900円+税)
ISBN978-4-8180-2051-1
日本看護協会出版会
TEL:0436-23-3271
-「看護」2017年8月号「SPECIAL BOOK GUIDE」より –