地域ケアの今⑥

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

 地域ケア上野さん

「いちばんたいせつなことは、目に見えない」

文:上野まり

 

昨年、東日本大震災の被災地に連泊した際、はるか昔に見た覚えのある挿絵に出会い、懐かしく思って久々に映画館に入りました。その映画は「リトルプリンス 星の王子さまと私」。以前読んだストーリーはほとんど記憶になかったので、その後、原作本『星の王子さま』(新潮社)を買ってあらためて読んでみました。

 

 

『星の王子さま』の世界に触れて

 

『星の王子さま』はフランス人のサン=テグジュペリによって書かれ、1943年に出版されました。あとがきによると、出版されて以来、半世紀以上にわたって百数十の言語に訳され、聖書の次によく読まれているベストセラーだそうです。私は聖書には疎いのですが、これまで教会や学校などで牧師やキリスト教徒たちの話を聞く機会が何回かありました。そこでは、聖書の一節や一場面を引用し、イエス・キリストの言葉や行動を用いて、わかりやすく人生の道しるべを私たちに伝えてくれました。確かにこの本も同じでした。ストーリーとしてよりも、その中に散りばめられている言葉や文章が、何度も心に直接響いてきたからです。

 

最初に衝撃を受けたのはこんな言葉です。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2016年3月号)