「家族看護 17」(リニューアル第1号)の特集は「がん終末期の家族ケア」。がん終末期の家族看護学の最新概念を紹介、倫理的問題の整理やグリーフへの支援、困難事例の誌上コンサルテーションなど臨床で使える内容が盛りだくさんです。以下に、特集・連載執筆者の先生からメッセージをご紹介します。
柳原 清子 先生(特集編著)
「がん終末期の現場は急激に変わってきています。症状緩和目的の短期の入退院が繰り返される中では、患者・家族は「治療が続いている」かのような錯覚をもち、また看護者もこの人々と対峙する機会もない中で、いよいよ最後の入院(時)が来る。当然、死に直面化させられる家族(システム)は大きく揺らぎます。求められる患者を含む家族への支援スキル、本特集は、この現状と家族看護を考えるものです」
長戸 和子 先生(連載「キーワードで学ぶ!家族看護学入門」執筆)
「患者さんだけでなく家族にも援助が必要だと思うけど、どうやって関わったらいいかわからない」「家族の全体像がうまくつかめない」「家族看護って興味はあるけど難しそう」といった思いをおもちの皆さん。家族看護のエッセンスを学び、日頃のケアに活かしてみませんか。
この連載では、家族看護を展開する上でポイントとなる視点を毎回1つピックアップし、事例展開を交えながらわかりやすく解説していきます。取り上げるキーワードは、不可解に思える家族の言動の意味を解き明かしたり、長い年月をかけて築かれてきたその家族の歴史や家族員の相互作用をふまえてダイナミックに家族の姿を捉えたり、その家族のもつ力や強みに目を向け引き出していくためのヒントとなるものを選んでいます。
この連載はきっと、“あの家族の場合はどうなのだろう”と家族に関心をもったりケアに踏み出すきっかけとなったり、より深く家族を理解するためのアセスメントの糸口となるはずです。そして、その学びを知識としてただ蓄積するのではなく、少しでも実践に取り入れてみることで、自分の見方やケアが変化する面白さや家族看護の醍醐味を実感していただけることを願っています。
畠山 とも子 先生(連載「どうつくる? 家族との関係」執筆)
いざとなると「家族にどう声をかけたらよいかわからない」ことって多いですよね。この連載では、日常ケア上の家族看護、面接室での家族看護など看護師が遭遇することの多い場面を取り上げ、家族との関係づくりについてご紹介します。看護・心理の専門家が共同で具体的な事例を使って展開していきます!
また、私たちが運営している家族看護実践センターは、事例検討・ビデオセッション・ロールプレイなどを用いて、家族もケアの対象とした実践ができることを目標にさまざまな活動を行っています。家族にどう声をかけたらよいかわからない初心者から、認定看護師・専門看護師など上級レベルの看護師まで、スキルアップに貢献できるプログラムを看護・心理の専門家の共同で提供します! 近日中にホームページ公開予定。メールアドレス:fam_nurs@fmu.ac.jp
法橋 尚宏 先生(連載「最新家族看護学研究レビュー」執筆)
「理論」「実践」「研究」を融合することで、「本物の家族看護(学)」が理解できるのです。家族看護(学)は現在進行形で進化しつつあるので、最新かつ最前線の研究成果を追跡し、エビデンスとフロネーシスにもとづいた家族支援を具現化しなければなりません。そのための情報とアドバイスをしていきます。
ご案内:日本家族看護学会第18回学術集会を、2011年6月25日・26日に開催いたします。メインテーマは「新しい家族看護学の探求:パラダイムへの原点回帰と未来共創」です。詳細は公式ウェブサイトをご覧ください。