本誌10月号では、東京都における福祉領域の第三者評価の概要を紹介しました。現在、各評価機関は1年のうちで最も繁忙期といえる時期を迎えています。私が所属している評価機関も評価者のチームを編成し、各事業所を訪れてヒアリングに取り組んでいるところです。
評価者チームは事前に、①事業所のリーダー層の合議による自己評価、②全職員が行う自己評価、③評価者が利用者に対して行う利用者調査の3つの結果を読み込み、ヒアリングに臨みます。ヒアリングの事前準備として、事業所は①と②を行い、評価機関に郵送します。なお、①と②の評価項目は同じです。③については入所施設の場合は評価者が利用者面接、通所サービス事業所の場合はアンケート用紙の郵送・回収などをします。評価者チームは①〜③を集計し、その結果をヒアリング前に事業所に届けます。
そして、①〜③の結果を基に事業所へのヒアリングを行います。その後、評価者チームは評価結果を合議し、評価機関として講評を仕上げ、その内容について当該事業所に同意を得て東京都に報告し、終了します。事業所への事前説明、契約、評価への着手、評価結果の報告という一連の評価プロセスに要する期間は、3〜5カ月程度です。
今回は、ヒアリングで感じることを踏まえ、リーダー・職員と、利用者や家族とのコミュニケーションのあり方について考えます。
苦情に対する受け止め方
評価する事業所の種類によってサービス内容(サービス提供のプロセス)の評価項目は異なりますが、共通しているもののうち、特にリーダーあるいは職員の回答で気になるのが「利用者保護に関する項目」です。この項目では、❶利用者の意向(意見・要望・苦情)を多様な方法で把握し、迅速に対応する体制を整えているか、❷虐待に対し組織的な防止対策と対応をとっているか、❸事業所としてリスクマネジメントに取り組んでいるかの3点を質問します。
→続きは本誌で(コミュニティケア2018年12月号)