SPECIAL BOOK GUIDE　「多様な価値観、多様な働き方時代のリーダーシップバイブル！『医療者のための共育コーチング　―心を動かしチームを動かす』刊行！

本誌連載「これでワンランクUP！　相手も自分も責めないコミュニケーション術」でもおなじみ、奥山美奈氏の著書が刊行になりました。全国の医療施設や看護協会、看護学校で、年間約200件のトレーニングや研修・講演を請け負う名コーチが、よりよい職場づくりのために「今日から使える」テクニックを伝授します！

■医療従事者に「ピタッとくる」コーチング

看護師、高等学校教員などを経て、現在、全国の医療施設や看護協会、看護学校で教育コンサルタントとして活躍中の著者。自身が確立した、医療現場ですぐに役立つそのコーチングスタイルは、質が高く、高い評価を得ており、依頼されるトレーニングや研修、講演の数は、年間約200件にも上ります。

本書では、そんな人気コーチが、医療現場で働く方々、特に、リーダーシップを発揮し、組織をリードする立場にある中堅〜管理職の方々に向けて、よりよい職場づくりのテクニックを惜しみなく披露します。

ビジネス分野やスポーツ分野のものとは異なる、医療従事者に寄り添った、自身も医療職出身である著者ならではの、コーチング実践本です。

■コーチングの魅力って？

本書ではまず、著者自身が「コーチング」という手段と出会ったことで救われ、やがて、ライフワークとして取り組みながら、独自のスタイルを築き上げてきた経緯が語られます。

カウンセリングや傾聴では解決できなかった苦しみが、コーチングによって緩和できた。同じように困っている人たちにも伝えていきたい……著者のコーチングにかける真摯な姿勢、どのようなことを大切にしながら行っているのかといったことが、説得力を持って示されます（序章）。

そして、ではそもそも「コーチング」とは何かということ、その成り立ちや種類、本書で取り扱う基本的なテクニック、医療現場でどのように活用できるのかといった基礎知識が解説され（第1章）、具体的な実践へと移っていきます。

■「今、皆が知りたい」テーマが満載

ストレスマネジメント、ハラスメント対策、ダイバーシティ、性的マイノリティ、精神疾患（疑い）のあるスタッフへの対応、外国人との協働……いずれも、現代社会において、関心の高い、ますます関心の高まりつつあるテーマです。そして、実際に直面したときに、「どう対応すればよいのかわからない」「相談する相手がいない」テーマでもあるのではないでしょうか。

医療の現場で働く方々にとってもしかりで、著者への講演や研修も、こうしたテーマでの依頼が増えてきたそうです。

それぞれが持つ多様な背景や価値観を尊重しつつ（否定や叱責をするのではなく）、ハイパフォーマンスなチームへと「共に育つ」には、具体的にどうすればよいのか。著者の介入先医療施設での工夫、成功事例を紹介しながら、解説します（第2章〜第4章）。ハイパフォーマンスなチームはやがて、経営的立場にある方々の心を動かし、施設全体、さらには、地域のケア力向上も促します（「座談会」「あとがきに代えて」）。

■「今すぐ」使えるヒントが随所に

各章に配されている“Case Study” は、著者あるいは著者のトレーニングを受けたコーチらが、実際にクライエントに対してコーチングを行っている場面をベースとしています。クライエントの悩み、あるいは願望の背景にある価値観を引き出しながら、なりたい姿・状態の実現へと導く、言葉の掛け方、とるべき態度が具体的に示されます。いくつかのケースには、実際のコーチング場面がみられる動画サイトに接続するQRコードも掲載。コーチやクライエントの表情や口調を視聴覚で感じ、コーチングを疑似体験することができます。

さらに、著者のトレーニングを受けた方々が、自身の働く医療現場で、どのようにそのテクニックを活用しているかを紹介するコーナー、「こんなシーンで！」も設けてあります。

巻末には、実際にコーチングに挑戦する際などに助けとなる、「コピーして使えるワークシート集」も収載。

このように、役立つヒントが随所にちりばめられた1冊となっています。皆さまの病院・施設が、働く人にとっても、利用する人にとっても、より魅力的な場所となるよう、ぜひお役立てください。

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本書刊行の2週間後には、著者主催の年次コーチング大会が、今回は本書の「出版記念大会」と銘打って開催されました（写真）。

著者のトレーニングを受けた医療職の方々が全国から集い、日ごろ積み重ねてきた実践の成果を披露。大いに盛り上がりました。