急性期病院は高齢者を“ひとりの人”として捉えることが難しいくらいに多忙です。しかし、「パーソン・センタード・ケア」の考え方に基づいた看護を展開すれば、高齢者本人・家族、そしてナース自身が満足する看護を提供できるのです。本書では、そのような看護を実践するために、「情報収集→アセスメント→看護問題→看護計画→評価」の流れで捉える8事例の「アセスメントフロー」を提示します。このフローを応用することで、あなたの“看護”が変わります!
SPECIAL BOOK GUDE 『アセスメントフローで学ぶ パーソン・センタード・ケアに基づく急性期病院の高齢者看護』が刊行
宮子あずさの気まぐれコラム❾
精神科病院の訪問看護室で働きながら、文筆活動を行う宮子あずささん。最近気になること、疑問に思うことなどを書きつづります
❾コロナ禍で知った「見え方」の違い
「不要不急の外出」なんてない
新型コロナウイルス感染症の流行が始まって早一年半が過ぎました。この間、国や自治体から「不要不急の外出は避けるように」とのアナウンスが行われてきました。
これは感染防止の見地からは、やむを得ない注意喚起でしょう。とはいえ、メンタルヘルスの立場から見れば、適度な外出は人間にとって不可欠なものです。
人事労務相談室❹
訪問看護ステーションや高齢者ケア施設で
生じやすい人事労務に関するトラブルと対応策、
またトラブルの防止策について解説いただきます。
スタッフがメンタルヘルス不調になった際の対応①
復職・退職までの流れと現状把握
中山 伸雄
なかやま のぶお
社会保険労務士法人Nice-One 代表 / 社会保険労務士
メンタルヘルス不調者数の増加
精神疾患により医療機関にかかっている患者数は、近年、大幅に増加しており、厚生労働省の調査によると2002(平成14)年は約258万人でしたが、2017(平成29)年では400万人を超えています(図1)1)。
筆者は、社会保険労務士として企業の社会保険の給付手続きの代行業務を担っており、メンタルヘルス不調が原因による健康保険の傷病手当金の支給申請数や相談数の多さに、困惑すら感じています。それは、医療・介護事業所も例外ではなく、メンタルヘルス不調者に関する相談は日常になってきました。
メンタルヘルスが不調になると、「遅刻しがち」「欠勤が増えた」「おかしな行動をする」など、業務にさまざまな影響が出てきます。もちろん事業所は貴重な人材を失いたくないでしょう。しかし、期待されるパフォーマンスを出せないとなると、不本意とはいえ事業所は対応を考えなければなりません。かといって、日本の労働法制においては、良くも悪くも解雇規制が厳しく安易な対応は禁物です。職場復帰をめざして復職支援をするのは事業所の責務ですが、人がかかわる問題である以上、いつ、何が原因で労使トラブルに発展するかわかりません。職員はもちろん、事業所を守るためにも、場面ごとに慎重な対応が求められます。
そこで今回から数回にわたって、メンタルヘルス不調者への対応について紹介します。
災害に強いステーションづくり❻
訪問看護ステーションにおけるBCP(事業継続計画)の
策定、防災・減災対策のポイントを解説するとともに、
実際の事例などをとおして災害時の
対応・危機管理のあり方を示します。
BCPの策定手順③
STEP3 被害の想定
寺田 英子
てらだ ひでこ
災害看護専門看護師/認定看護管理者
今回は、事業継続計画(Business Continuity Planning:BCP)の8つの策定ステップのうち、「STEP3 被害の想定」について解説します。被害の想定では、予想される災害リスクを把握し、自ステーションにおける人的・物的被害を予測するほか、被害状況に応じた対応、つまり事業継続の可否の判断とその後の対応方法を考えます。
被害を想定する際の留意点は、「その地域で発生する可能性が高い災害による被害状況を踏まえて、できるだけ具体的に想定する」ことです。その理由は、具体的な被害想定から課題を明らかにし対策を講じることと、災害発生のイメージをスタッフで共有するためです。ただし、災害は想定通りにはならないと考え、厳密さを追及しないことがポイントです。