書評『がん終末期患者のストーマケア Q&A』(祖父江正代・松浦信子 編)

評者:溝上 祐子(公益社団法人日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程長)

 

これからの日本は急速に進む高齢化・多死社会を迎えるに当たり、医療のあり方を大きく変化させていくことが求められている。

 

看護師が働く場所も病院だけでなく、あらゆる保健施設や老人施設、そして在宅の場など多様化していくであろう。現在は看取りの場所のトップは病院であるが、今後はその受け入れ病床が不足することが予測されている。

 

もはや、がん終末期の緩和ケアは病院だけではなく、あらゆる場面で必要となってくる。これからの看護師はプロフェッショナルとして、あらゆる職種と協働しながらリーダーシップを執っていく能力と知識を持たなければならない。

 

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夏休みに被災地で看護支援をしようと考えている方へ ☆☆ オススメ書籍『避難所・仮設住宅の看護ケア』

昨年3月11日に起こった東日本大震災から1年5ヶ月が過ぎ、ニュースでも被災地の話題が取り上げられることはだんだん少なくなってきました。しかし被災地では、いまでも仮設住宅で不自由な生活をされている方がたくさんいらっしゃいます。近くに知り合いがいないため1人家に閉じこもり、生活不活発病になったり、誰にも知られずに孤独死されている1人暮らしの高齢者がいらっしゃるということは、残念ながら事実です。

 

弊社書籍『事例を通して学ぶ 避難所・仮設住宅の看護ケア』では、急性期の避難所での支援だけでなく、被災から1年ほど経過した時期の仮設住宅で暮らす被災者への看護支援について、シミュレーション問題を用いて学ぶことができます。

 

たとえば、こんな感じです。

【Q】

仮設住宅で暮らす1人暮らしの65歳の男性Yさんは、津波で妻を失い、日々の生活のすべてを自分でしなければならなくなりました。これまですべての家事は妻がしていたようで、Yさんは台所に入ったことすらなく、食事をどうやってつくればよいか見当もつかない様子です。

Yさんは「これから先、どうしていいかわからない」と言って、毎日アルコールを飲みながら、うさ晴らしをしています。看護ボランティアのEさんが訪問しても、床にカップラーメンの容器がころがっているだけで、きちんとした食事をしている様子はありません。酒瓶の数は日に日に増えており、このままではEさんの健康が心配です。

 

みなさんならば、Yさんにどのように支援の手を差し伸べますか?

 

著者の1人、黒田裕子さんは、阪神・淡路大震災の被災者で、自らも4年間仮設住宅で生活をされてきた経験をもちます。その間、一人ひとりの被災者と個として向き合い、人間らしい暮らしができるように様々な活動をされてきました。東日本大震災でもいち早く現地に赴き、現在に至るまで継続して被災者支援にあたっていらっしゃいます。

 

「被災から1年以上経ったから、もう自分が行く必要はないのではないか」と思っていませんか。まだまだ現地にはあなたの支援を必要としている方が大勢いらっしゃいます。8月も半ばになりましたが、これから夏休みという方もいらっしゃるでしょう。夏休みを利用して、被災地で看護ボランティアをしてみようと思った方は、ぜひ現地に『事例を通して学ぶ 避難所・仮設住宅の看護ケア』を持参していってください。困ったときの助けに必ずなると思いますよ。

 

こちらから、少しだけ立ち読みもできます!

【NT8月号特集】これからのストーマ管理 在宅・施設へ安全につなぐ

先週まで連載の紹介ばかりしていましたが、今日はメインの特集の紹介です。8月号では専門的な管理の必要がないストーマの装具交換を医療者以外も行えるようになったことを受けて、「このような中で本当にストーマ保有者の安全を守っていくために、ナースは何を知っておくべきかを伝えるべき」という編集会議での意見を受けて特集を組みました。

 

監修をしてくださったのは、日本創傷・オストミー・失禁管理学会で、医療者以外のストーマ装具交換の指針作りに携わった田中秀子先生(淑徳大学看護栄養学部教授)です。

 

各論では、さまざまな場面でストーマ保有者の安全を守るために活動されている皮膚・排泄ケア認定看護師の皆さんに、実際の活動をご紹介いただいています。以下では、そのポイントをご紹介します。

 

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NT2012年8月号連載【トゥデイズ・インタビュー】紹介

NT2012年8月号の連載【トゥデイズ・インタビュー】では、

皮膚・排泄ケア認定看護師・がん看護専門看護師の祖父江正代さんに、

終末期患者のストーマケア」

をテーマにお話を伺いました。

 

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【NT6月号特集】急変回避の法則

今回は、「治療やケアが終わったあとは、ついついほっとしてしまいがちだけど、それらの処置をしたからこそ起こる急変がある」という考えの下、集中ケア・小児救急・がん化学療法看護の認定看護師の皆様に、それぞれの臨床経験の中から、急変の起こりやすいパターンをお考えいただき、法則としてまとめていただきました。

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