NT2014年12月号連載【アセスメント力を高めるフットケア】紹介

 

NT1412表紙NT2014年12月号の

【アセスメント力を高める

 フットケア】は、

 

「足の皮膚・爪を理解する」です。

 

 

 

 

 

 

 

骨という身体の深い部分から始まったこのフットケアの連載ですが、最終回である今回は、体表面を覆う皮膚と、その付属器である爪のアセスメントについてです。

 

足の皮膚の構造と役割

 

1)表皮

 

皮膚は、表皮・真皮・皮下組織の3層構造から成っています。表皮は、表層から順に、角質層・顆粒層・有棘層・基底層の4層から成りますが、手掌と足底は角質層と顆粒層の間に透明層(淡明層)が存在し、5層構造です。0.06〜0.6mmとその厚さは部位によって異なります(図1)。

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角質層は、角質細胞と、それをつなぐ細胞間脂質から成っています。角質層だけで14〜15層とも15〜25層とも言われる層を成していますが、中でも手掌や足底は、200層にもなると言われています。また、角質細胞のうちの約8割はケラチンで、角質細胞間脂質のうちの約半分はセラミドで構成され、身体の一番外側のバリアの働きをしています。

 

基底層は表皮の最下層にあって、表皮内で唯一細胞分裂をする層です。基底細胞は約14日間かけて基底層から角質層に移動し、さらに14日間かけて角質細胞が脱落し落屑や垢となります。これを角化と言います。

 

表皮と真皮の間には基底膜が存在し、基底細胞を支える足場の役割をしています。そして、真皮層の真皮乳頭にある毛細血管から、基底膜を通して、血管がない表皮に栄養供給がなされます。

 

2)真皮

 

真皮は、乳頭層、乳頭下層、網状層の3層から成り、厚さは部位によって異なりますが、1〜4mmほどです。未来の医療の鍵を握るiPS細胞は、真皮層の線維芽細胞から樹立されています。

 

乳頭層は、表皮の基底層に突起状に入り込んでいて、毛細血管や知覚神経の終末が密に存在しています。また、乳頭下層はコラーゲン繊維が発達し、神経や血管にも富みます。

 

身体の末端部分の真皮層には動静脈吻合(A‒Vシャント)が存在し、自律神経支配を受けています。また、足底や手掌の真皮層に存在する網目状血管は、圧迫などの負荷に強いループ構造になっていて、血流を保ちやすくなっています。

 

真皮層の繊維芽細胞は、コラーゲンやエラスチン等を合成し、創傷治癒において大きな役割を果たします。

(この続きは本誌で)

 

[著者]西田 壽代

(足のナースクリニック代表/一般社団法人日本トータルフットマネジメント協会会長)

 

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