書評『看護管理者のための実践的マネジメント 第2版 看護がリードする経営改善』

評者:山下 美智子 (公益財団法人筑波メディカルセンター筑波メディカルセンター病院副院長・看護部長)

 

第1版が出版された2008年から、認定看護管理者研修セカンドレベルの「看護管理実践計画」を立案するために、筆者が受講者に紹介しているのが本書である。看護管理者の基本としての「経営マインド」から「組織の運営」「財務分析」まで、概念だけではなく事例を提示して解説し、管理者が「ここがわからない」という細部の問いに答える内容となっている。自部署運営の中で、私たち管理者が不得意とする医療制度や組織分析、財務分析を、現在の知識でもわかるように解説して、その必要性を説いている。

第2版は、管理者の「ジェネリックスキル」と「BSC」を展開していくに当たっての具体的説明が加筆されている。この加筆された内容を読んで、筆者が私たちに「加筆内容を改めて確認してくださると、もっと管理者としてのスキルが向上します」と管理者の課題を把握した上で補足していると理解した。医療組織の中で、「組織の機能や目標をブレイクダウンして個人に落とし込む」という従来の方法に加えて、人々が協働して“チーム”をつくり、組織としてまとめ上げる看護管理者としてのスキルが、より一層求められているからである。

 

筆者は多くの病院に経営コンサルタントとして入り、現場の看護管理者のさまざまな悩みや考え方に触れている。今回、サブタイトルを「看護がリードする経営改善」としたのは、筆者から私たちへの“エール”だと感じている。

 

-「看護」2013年1月号より –

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