看護職が辞めない組織をつくる!(22)

訪問看護ステーションや高齢者ケア施設の管理者が抱える課題を浮き彫りにし、どうしたら職員が辞めない組織づくりができるのかについて指南します。

 

 

 

ターミナルケアにおける
職員の精神的負担を減らす施策

 

横山 郁子

よこやま いくこ

株式会社パーソナル・ナース 代表取締役/訪問看護塾 塾長
神奈川県訪問看護ステーション協議会 会長

 

 

少人数で働くことが多い訪問看護ステーションでは、職員同士のコミュニケーションの質が離職率を大きく左右します。

 

本連載ではこれまで、職場におけるコミュニケーションのコツについて、さまざまなアプローチから掘り下げて紹介してきました。そこで、今号はこれまでお伝えした「離職率を低下させるコミュニケーションの仕組みづくりのコツ」を新たな方法も付け加えつつ、総集編としてお伝えします。

 

訪問看護ステーションにおける

コミュニケーションの特徴

 

●少人数なことが多く、人間関係が狭くなりすぎる
病院では日々、病棟看護師や外来看護師、さまざまな多職種と接しますが、ほとんどの訪問看護ステーションでは毎日、5、6人程度の同じメンバーと顔を合わせることになります。すると、職員間で感情の行き違いなどがあった場合、なかなか空気を変えられず、ステーション内が険悪な雰囲気になることがあります。

 

「訪問看護ステーションには逃げ場がない」とよく言うのも、この状況を表したのでしょう。

●人で行動する時間が長く、コミュニケーションをとる時間が少ない
訪問看護師は基本的に単独で訪問するため、8時間勤務のうち、6時間程度は1人で行動しているのではないでしょうか。直行直帰制度を導入しているステーションの場合はさらに、ほかの職員とコミュニケーションをとる時間が減っています。たとえ、職員が悩み事などを抱えていたとしても、物理的にほかの職員と接する時間が短いため、複雑な事情がある場合などは特に、相談することが難しい働き方となっています。

 

以上の特徴から訪問看護ステーションの看護師は、狭い人間関係の中にいながらも職員間のコミュニケーションが不足しがちになってしまう仕組みの上で働いていることに気づくはずです。

 

それでは、職員同士のコミュニケーション不足を解消し、やりとりを円滑にするための仕組みづくりのコツをお伝えします。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2024年8月号)