●監修 福井 トシ子
国際医療福祉大学大学院副大学院長/教授
●企画協力
鳥海 和輝
『Gem Med』編集主幹
小野田 舞
一般社団法人看護系学会等社会保険連合 事務局長
診療報酬等に関連する用語の理解や管理指標の持つ意味、病院機能ごとの経営の考え方について解説するとともに、事例を通じて、看護管理者が病院経営に貢献するためのヒントを探ります。
*vol.1〜7(予定)は【解説編】、以降は【事例編】となります。
vol.3 解説編
経営層との共通認識をはかるための
経営指標の理解②
小野田 舞
おのだ・まい◉島根大学医学部看護学科・助教、東京医科大学医学部看護学科・講師を経て、2018年より現職。看護学博士。国際医療福祉大学大学院管理実践看護学(DNP)・非常勤講師。
本連載の第2回では、病院経営について看護管理者が押さえておくべきこととして、財務諸表に関する用語を中心に解説しました。第3回は、貸借対照表や損益計算書などを使って財務状況を分析する際に用いられる用語について解説します。
まず、病院経営が一般企業の経営と異なる点を理解しておきましょう。これにより、経営に関する指標の読み違いや、誤った認識を防ぐことができます。
病院経営の特徴
1. 厳格なルール
病院経営においては、医療法や健康保険法、保険医療機関および保険医療養担当規則(新療担規則)などの法令や規則、さらには国が定めた診療報酬のルールなど、非常に制約の多い環境の中で利益を生み出さなければなりません。
2. 営利を目的としない
病院経営は大きな利益を生み出すことを目的としていません。必要な費用を賄え、かつ、病院が存続できることに重きが置かれています。また、医療サービスの価格は診療報酬により全国一律なので、サービス競争が起きにくい環境にあります。
3. 多額な設備投資
病院は、堅牢な建物や高度な医療機器をはじめ、ベッド・床頭台といった備品など、設備投資に多大な費用を必要とします。加えて今後は、医療DXに対応するため、高額な借り入れをしなければならない可能性も考えられます。