N.Focus 看護職が安心して放射線診療に従事するための2つのガイドライン

 

看護職が安心して放射線診療に従事するための

2つのガイドライン

放射線業務従事者の区分および

水晶体の防護手段

 

一般社団法人日本放射線看護学会学術推進委員会

野戸結花、堀田昇吾、太田勝正、小山内暢、佐藤美佳

 

本稿では、放射線診療に従事する看護職が安心して働けるよう、看護管理者が理解しておくべき日本放射線看護学会の2 つのガイドラインを紹介します。

 

はじめに

 

放射線診療に従事する看護師に対する、放射線管理上の責任は一義的には病院事業者にあります(多くは病院長ですが、法人によっては理事長などの場合もあります)。そして、放射線管理の中で行われる個人線量管理、健康管理、診療用放射線の安全利用のための研修は、主に診療放射線技師が担当する医療放射線安全管理責任者によって行われています。そのため、病棟の師長や看護部の責任者は放射線管理の実情についてあまり詳細なことは知らず、また、関心も低いかもしれません。

 

しかし、病院内のほとんどの看護師が何らかの形で放射線診療にかかわり、極端なケースではありますが、その中で放射線障害が生じるような業務が続いている可能性は否定できません。看護師の、よりいっそうの安全と安心の確保のために、看護管理者は放射線診療と看護とのかかわりについて再確認するとともに、次の2点を理解しておく必要があります。

 

①どのような業務に従事する看護師が放射線診療従事者として指定を受け、放射線管理の対象になるのかという基準や考え方
②近年、件数が増大している血管造影による画像下治療(IVR)や撮影中の介助が必要なCT検査などに従事する医療者(看護師もその一部が該当します)の眼の水晶体(以下:水晶体)の被ばくが問題となっているため、水晶体の被ばく線量をどのように測定し、必要な被ばく低減対策をどのように行えばよいか

 

放射線管理の実務は診療放射線技師らにお願いするとしても、看護管理者として看護師の被ばくの状況、必要な個人モニタリングの方法、基本的な被ばく低減策について、十分に把握しておくことは重要ではないでしょうか。

 

過去には、放射線被ばくが要因となって皮膚がんを発症した准看護師の事案が労災認定されたこともあり1)、看護職に対する放射線管理の徹底が求められています。そこで、日本放射線看護学会では、「放射線診療(業務)従事者の指定に関するガイドライン〜看護職者〜」2)と「看護職のための眼の水晶体の放射線防護ガイドライン」3)を作成しました。これらは、臨床現場で実際に放射線業務に従事する看護職が安全に安心して業務に従事するために活用できることはもちろん、看護管理者の方々が、放射線業務に従事する看護職をマネジメントする上でも役立つガイドラインとなっています。

 

→続きは本誌で(看護2024年4月号)