[特別寄稿]南海トラフ巨大地震に備えて

特別寄稿

南海トラフ巨大地震に備えて

支援を受ける「受援」の立場から

 

竹崎 久美子

高知県立大学看護学部 教授

 

国は、南海トラフの巨大地震が起きると、震度7の激しい揺れや10メートルを超える大津波が太平洋沿岸を襲い、最悪の場合、死者は32万人を超えるなどと想定しています。こうした中、医療機関、そして看護師にも、この大災害を想定した備えが求められています。本稿では、高知県立大学看護学部教授の竹崎久美子さんに、南海トラフ巨大地震の被害想定などを踏まえて、支援を受ける立場から、高知県におけるこの地震への備えと取り組みについて詳しく紹介していただきます。

今年は5月に入ってから石川県能登地方、千葉県南部地方と、マグニチュード5や6を超える地震が続いています。被災された皆さまには心からお見舞い申し上げます。

 

本稿では、次の大規模地震と予測されている南海トラフ巨大地震について、被害想定や医療・看護が直面する課題を概観し、備えておくべきものは何かについて考えます。

 

筆者は、阪神・淡路大震災(1995年)を経験した後、高知県下の大学に着任し、東日本大震災(2011年)では高知県・市の保健師チームとして宮城県に入る機会を得ました。それらの経験から2011年以降は、来るべき南海トラフ巨大地震に向けて、全国からの支援を上手に「受援」し、1日も早い地元の復旧復興に貢献できる看護職集団となることをめざして、高知県看護協会とも協同した「備え」を模索している立場の者です。ここでは、高知県での取り組みなどを例として、受援する立場での備えについて述べていきます。

 

 

→続きは本誌で(看護2023年7月号)