地域ケアの今(55)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

 

「新型コロナウイルス」について思う

 

文:鳥海房枝

 

未知のウイルスが与えた影響

 

この原稿が皆さんの目に触れるころには新型コロナウイルス感染症の収束のめどが立っているのか、大変気になるところです。3月初旬現在、東京の街はマスク姿の人々が目立ち、当たり前だったラッシュアワーの満員電車にも隙間ができています。デパートは営業時間を短縮し、繁華街も明らかに人出が少なくなっています。そして、テレビは発症者数をリアルタイムで伝え、その影響が各産業分野に及んでいる様子は、これまでの私の体験をはるかに超えたものです。

 

「疫病」という言葉は死語のような扱いになりました。全世界に広がっていく様子は、まさにペストやスペインかぜ(インフルエンザ)を思い出させます。ただし、当時との大きな違いは死亡者数でしょう。これには近年の医療を含む科学技術の発展が寄与していると考えます。一方で、科学技術の発展によりもたらされた私たちの暮らしの脆弱性にも気づかされました。

 

そんな中で、私たち個人ができることとして、手洗い・咳エチケットの励行・換気はもちろん、人混みを避ける・十分な休養と睡眠をとり免疫力を高めるなどの行動の重要性が、今あらためて強調されています。これらの対応は古典的ともいえる内容です。これだけ科学技術が発展した中でも、具体的対策は第1次世界大戦の時代に、すでにナイチンゲールが提唱していたことです。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2020年4月号)