看護師から一級建築士へ転身した戸倉蓉子氏。「建物に元気を与える」をテーマに氏がこれまで手がけてきた医療施設の新築・改装後の写真を例に解説し、職場の環境改善を提案した看護界初のデザイン書です。本書掲載105枚の写真の中から5枚の写真を紹介します。
法人理念「自立と自由の家」、そして運営方針の1つ「人間愛」を外壁の色と建物全体で表現しています。コンセプトは「楽園」です。(ほうせんか病院)
分娩室の天井。妊婦さんの不安を出来るだけ軽減できるように天井に子宮の形が浮かび上がる折り上げ間接照明を取り入れました。(ファミール産院君津)
カウンターの材質は黒の御影石を使用し、背面に間接照明を入れました。リニューアル前は「座って受付すると、患者さんの対応に時間がかかりクレームが出るのでは?」と反対もありました。しかしリニューアル3か月後にクリニックを訪ねると整然と患者さんが並んで待っていました。一人ひとりに丁寧に対応してもらえるという安心感が生まれたからだと思います。
(鈴木慶やすらぎクリニック)
腰かべにパネルを使用した例。拭ける素材なので清潔を保ちやすい。腰から上は壁紙を用いて空間をやさしいイメージに。(大分リハリビテーション病院)
妊婦さんのための椅子・ピンキー。妊婦さんの気持ちが穏やかになる色の調査をした結果、ピンクが好まれるというデータを得ました。(佐藤病院)
戸倉蓉子著
●A5判・120ページ
●定価(本体2000円+税)
ISBN978-4-8180-2188-4
発行 日本看護協会出版会
(TEL:0436-23-3271)
≪主な内容≫
1 建物は女性? 男性?
2 病院の外壁は白が多い。なぜ?
3 看板はイメージを統一して
4 植物から元気をもらう
5 美しい窓辺は人を癒やす
6 病院に入る緊張を和らげる方法
7 スタッフルームを美しく
8 リラックスできる待合室にするために色彩を工夫
9 待合室の照明と色温度
10 車いすの居場所を決めておく など全50テーマ!
「看護」2019年8月号「SPECIAL BOOK GUIDE」より