本連載では、聖路加国際大学大学院看護学研究科特任教授の井部俊子さんと、訪問看護パリアン看護部長の川越博美さんが、往復書簡をとおして病院看護と訪問看護のよりよい未来を描きます。さあ、どんな未来が見えてくるのでしょう。
井部俊子さんから川越博美さんへの手紙
訪問看護ステーションビジネス
文:井部俊子
先月号は、お互いの親の看取りを語り合いましたね。拙著『マネジメントの探究』(ライフサポート社, 2007)も手にとっていただきありがとうございました。余談ですが、先日、日本クリティカルケア看護学会学術集会で看護管理の講演をする機会があり、自分の本の紹介をしました。講演を終えると参加者の1人が「本が売れていますよ」と言って近づいて来たので、どうしてわかるのかと問うたところ、講演中にAmazonで購入を始めた人がいて、売れ行きがわかったというのです。何人かは私の話を聞きながら、Amazonで注文していたようです。翌日、ライフサポート社から連絡があり、『マネジメントの探究』が急に動き始めたが、残り少ないので増刷すべきか考えているということでした。私は元来、自分の著書を自分で宣伝することは「恥ずかしながら」避けてきましたが、本が売れないと絶版になってしまうので「恥ずかしながら」はやめようと思った次第です。
あなたは、先月号で訪問看護が市民に認知されていないことを嘆いていました。しかし、訪問ヘルパーやケアマネジャーの認知度のほうが高いという現実は歓迎すべきかと思いました。後者のほうがそれだけ消費者(市民)に身近であるということでしょう。
私は以前から、訪問看護サービスがビジネスとして簡単に“購入”できるような仕組みを整えるべきと考えてきました。