書評『伝え上手な患者になる!「医者と何を話してよいかわからない」あなたへ』(平松 類 著/自由国民社)

評者:石田 昌宏(前日本看護連盟幹事長)

 

少子高齢化は、医療の受け手が増え、支え手が減る時代。医療にかかるお金がかかる時代。効率化が求められる。それを乗り切るには、医療のプロたちを上手に使う方法を国民みんなで共有する必要がある。

 

熱っぽい時はどうしたらいいのか。薬を忘れず飲むためにはどうしたらいいのか。体調の違和感をどうやって医師に伝えたらいいのか、手術をしたほうがいいと言われたが不安をどうやって取り除けばいいのか……。

 

こういう心配事を解消できて初めて、自分や家族の健康をすっきりと守ることができる。そのためには、医療のプロたちから方法を聞けばいい。ところが、医療のプロたちも困っている。患者のホントの想いを知るのは案外難しいのだ。

 

患者とプロたちを結ぶ魔法の道具がほしい。 そこでドクター平松のこの本。ポイントは「気持ち伝達シート」。これで自分の想いを整理してわかりやすくプロたちに伝えることができる。絵や図を使うのがいい。子どもだって使える。 患者と医療のプロたちとのコミュニケーションをよくすることが、実は医療のプロたちを国民が上手に使うコツなのだ。

 

「自分の健康は自分で守る」という患者の意志と「病気を治し、癒し、患者さんに幸せになってほしい」という医療のプロたちの意志が一致した時、“こころの結束”が起き、治療は大きな効果を上げる。こんな考えを国民全体で共有したい。

 

‐「看護」2012年8月号より –