骨太方針2025を閣議決定
社会保障費の伸びに物価・賃上げ相当分を反映
「社会保険旬報」編集部
政府は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太の方針2025)を閣議決定しました(図表1)。来年度予算編成における社会保障費については、高齢化による増加分に相当する伸びに加え、「経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する」と明記。物価・賃金の上昇によって厳しい経営環境に置かれている医療・介護分野に対し、診療報酬や介護報酬で対応する考えを示しています。
●財政状況を踏まえ社会保障費の伸びを抑制
骨太の方針は、翌年度の予算編成の方針や財政運営に関する基本的な考え方を示す文書です。年末に向けて行われる予算編成作業の方針を示すもので、政府予算の半分以上を占める社会保障費の動向に大きな影響があります。
政府の予算編成では、社会保障費の伸びを抑えるため「社会保障関係費の実質的な伸びを高齢化による増加分に収める」というルールを設けており、2025年度も、この方針に沿って概算要求段階での医療・介護などの経費が1,300億円圧縮されています。
背景にあるのは、先進国中で最悪と言われる財政の現状です。骨太の方針2024では、2030年までの6年間(2025~30年)を計画期間とする「経済・財政新生計画」を定め、財政の健全化をめざして債務残高のGDP(国内総生産)比を安定的に引き下げることにより、経済再生と財政健全化を両立する取り組みを進めることとしました。
骨太の方針2025でも、「経済・財政新生計画」の取り組みを継続することとし、金利が上昇する局面においても、大災害や有事に対応する財政余力を確保していく考えを示しています。
財政健全化については、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)を指標とし、2025年度の黒字化を目標としていましたが、骨太の方針2025では、黒字化の時期を2026年度まで延長するとともに債務残高GDP比を2030年度までに「コロナ禍前の水準」に引き下げる考えを示しています。
→続きは本誌で(看護2025年8月号)