社会保障制度改革が進む中、看護職としてめざすべき方向性を示すために、2015年6月、日本看護協会は「看護の将来ビジョン」を公表しました。本書は「看護の将来ビジョン」を解説し、ビジョンで示された「2025年に向けた看護の6つの役割」について優れた実践を紹介。「10年先、20年先を見据えて、看護職としてどう活動すべきか」を考える必読の書です。
■「看護の将来ビジョン」とは何か
2025年は団塊の世代全員が75歳以上となり、医療・介護・福祉サービスへの需要が急増することが予測されています。
こうした中、社会保障制度を維持するために、日本の医療は従来の「病院完結型」から「地域包括ケアシステム」へと大きく舵を切りました。この変革の時代に、どう立ち向かっていけばいいのか。看護職としての立ち位置や未来を考える指針として策定されたのが、日本看護協会「2025年に向けた看護の挑戦 看護の将来ビジョン―いのち・暮らし・尊厳を まもり支える看護」(以下:ビジョン)です。
本書は2章で構成されています。1章ではビジョン策定の経緯・骨子と、ビジョン達成に向けた日本看護協会の活動の方向性を解説。医療・介護・福祉の現状と課題、同協会の重点政策・重点事業の方向性が詳しくわかります。
■“6つの役割”のグッドプラクティスを提示
2章では、ビジョンで示した“2025年に向けた看護の6つの役割”(表)を具体的に知る手がかりとして、保健師・助産師・看護師の方から、18の優れた実践(グッドプラクティス)をご報告いただきました。第一線の看護職として現状をどう捉え、活動してきたのかが語られています。
■誇りと自信を持って働き続けるための指針
同協会の坂本すが会長は、本書「発刊にあたって」の中で、ビジョン策定の経緯を次のように語っています。「この混沌とした看護の未来に、選択できるいくつかの方向性を示し、1人ひとりの看護職が今の自分の立ち位置を確認し、誇りと自信を持って働き続けるようにしたい、と強く思うようになりました。そのためには『私たち看護職は何者で、何をなすべき者なのか』という問いに対し、日本看護協会が考えを示す必要があります」
本書を、読者の方が「看護の将来ビジョン」を読み解かれ、看護職として新しい一歩を踏み出すきっかけとしていただければと思います。
-「看護」2016年12月号「SPECIAL BOOK GUIDE」より –