●監修 福井 トシ子
国際医療福祉大学大学院副大学院長/教授
●企画協力
鳥海 和輝
『Gem Med』編集主幹
小野田 舞
一般社団法人看護系学会等社会保険連合 事務局長
診療報酬等に関連する用語の理解や管理指標の持つ意味、病院機能ごとの経営の考え方について解説するとともに、事例を通じて、看護管理者が病院経営に貢献するためのヒントを探ります。
vol.21 実践編⑮
業務の見直しにより人員を有効活用する
鳥海 和輝
とりうみ・かずき◉大学卒業後、社会保障系出版社に勤務。医療保
険専門誌、介護保険専門誌の記者やデスク等を経て現職。現在、
ニュースサイト『Gem Med』にて、医療政策・行政情報を発信し
ている。
病院経営の基本は「収益を最大化し、費用(コスト)を最小化する」ことです(収益とコストの差が「利益」となる)。前号から「コストの最小化」に向けた方策を検討しており、引き続き、本号では「人件費の適正化」の方策を考えます。
無駄な業務が発生していないか
2022年度の医療経済実態調査結果1)の中で一般病院のコストを見てみると、最も大きなシェアを占めているのは「人件費」です(56.4%)。次いで、医薬品費(9.3%)、材料費(7.8%)と続いています。
コストの最小化を進める上では、「大きなシェアを占める部分」から適正化を進めることが鉄則です。例えば、コストの1%しか占めていない費目を半減できたとしても、その効果は「コスト全体の0.5%」に留まります。一方、30%を占める費目を10%縮減できれば、その効果は「コスト全体の3%」になるのです
そこで今回は、最も大きなシェアを占める「人件費」に着目し、縮減策を考えてみましょう。ここでも、最も重要な視点は「医療の質を下げない」という点です。この最重要視点に照らせば、安易な人件費の削減、例えば、給与カットや昇給の抑制などは優秀な人材が去ってしまうことにつながるため、好ましくないことがわかります。どれだけ長く、誠実に勤務をしても給料が上がらない職場に勤めたいと思う人はごく少数でしょう。しっかり働いた分は、きちんと給料や賞与などで評価してもらわなければ働く意欲が低下し、結果として、医療の質の低下につながります。
→続きは本誌で(看護2025年12月号)








