災害が多発し、誰もがいつ被災するかわからない昨今、医療職はもちろん、一般市民も災害時のトリアージ(傷病者の選別)に関する知識・技術を習得していることが望まれています。実際に災害が起きたとき、看護職が慌てず適切な判断・対応を行うにはどうすればよいのでしょうか?
本書では災害トリアージ(病院前救護)の基礎知識について簡潔かつ平易に、またイラスト、写真、映像を用いて視覚的にわかりやすく解説しています。
本書を存分にご活用いただくために、ここでは内容の4つのポイントをご紹介します。
■POINT 1 災害トリアージの基礎知識を学ぶ
災害トリアージについては「勉強をしたいけど、何から始めればいいかわからない」「難しそう」といった印象を持たれる方が多いかもしれません。
そのような方が学習を始めやすいよう、第1章では災害トリアージ(病院前救護)の原則から一次・二次トリアージの進め方、タッグの記載方法まで、知っておかなければならない基礎知識を網羅的に解説しています。ポイントを押さえ簡潔かつ平易に記述しているので、事前知識がなくてもスッキリと理解できる構成になっています。
概念的な知識だけでなく、触診や視診による全身観察のポイント、生命を脅かす特徴的所見など、現場ですぐに役立つ知識が満載です。
■POINT 2 練習問題で具体的症例とその対応を学ぶ
第2章「災害現場でのトリアージ判定模擬訓練」では、災害発生後の救護所で遭遇し得る代表的な受傷・疾患症例を30例取り上げ、的確な判断のためのポイントと、具体的な対処法を問題形式で提示しています。
災害トリアージでは刻一刻状況が変化する中で何を優先するかという瞬時の判断が非常に重要となります。この練習問題を解くことで、平時には気づかない災害現場ならではの観察のポイントと優先順位、軽視されがちだけれど実は重要な症状・徴候とその対処法を習得することができるでしょう。
■POINT 3 DVDで視覚的に学ぶ
添付のDVDでは、タッグの記載方法、トリアージの練習問題、応急処置の実際の方法を映像で学べます。特に応急処置は、文章や写真だけでは理解が難しい実際の処置の工夫や注意点を映像を見て学ぶことができるので、実践的な手技を身につけることができます。
自習はもちろん、研修会等での実技訓練でもご活用いただけます。
*研修会等でDVDを使用する場合は編集部(TEL:03-5319-7171)にお問合わせください。
■POINT 4 災害救護経験者の生の声を今後に生かす
第2版の大きな特徴としては、コラム「Voice〜現場からの声」をさらに充実させたことが挙げられます。
初版のJR福知山線脱線事故などに加え、今回は東日本大震災(2011年)と熊本地震(2016年)で災害救護を実際に経験した看護師・医師たちが当時を振り返り、緊迫した現場の状況と救護活動の実態を語っています。そこには、災害を経験して初めてわかったことなど、災害救護活動における重要なヒントがたくさん含まれています。
こうした災害経験者・支援者の生の声にじっくりと耳を傾け、今後来るかもしれない災害に対して、日ごろから十分に備えていくことが大切です。災害が実際に起こるその前に、ぜひ、ご一読ください。
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著者の山﨑達枝氏は、本書の序文で「災害看護とは看護の原点であり、ナイチンゲールの看護の原点」と述べています。
本書を読むことで、災害トリアージの知識・スキルを身につけるだけでなく、日ごろの「看護」をあらためて見つめ直し、向上させるきっかけにしてください。
『災害現場でのトリアージと応急処置 第2版』
山﨑達枝 著
●A5判 168ページ
●定価(本体2400円+税)
ISBN978-4-8180-1999-7
日本看護協会出版会
(TEL:0436-23-3271)
[主な内容]
第1章 災害現場でのトリアージ
プレホスピタルにおける医療活動とは
災害現場におけるトリアージ
一次トリアージ―START式トリアージ(生理学的評価)
二次トリアージ(解剖学的評価)
トリアージタッグの記載方法と留意点
第2章 災害現場でのトリアージ判定模擬訓練
救護所での一次・二次トリアージにチャレンジしてみよう!
第3章 災害現場での応急処置
[固定法]下肢固定/頸椎固定/フレイル固定/穿通性異物固定
[被覆法]脱出臓器の被覆/3辺テーピング
[止血法]直接圧迫止血法/間接圧迫止血法
Voice〜現場からの声
資料:トリアージ判断用カード
→ こちらからダウンロードもできます!
◆ 添付DVD :トリアージタッグの記入方法 / Let’s チャレンジ!
トリアージ判定 / 身につけよう! 災害現場での応急処置
-「看護」2017年5月号「SPECIAL BOOK GUIDE」より –