訪問看護ステーションの経営戦略(11)
訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全
な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会
計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。
未収金管理によって
資金繰りを改善しよう
渡邉 尚之
資金収支への影響が大きい未収金管理
今回は訪問看護ステーションにおける未収金管理について取り上げます。未収金とは、売上が発生したものの、まだ入金されていない状態のお金です。未収金管理は、医療・介護事業経営において重要な課題です。なぜなら医療・介護事業では、小売店や飲食店のように商品の売上と現金の入金が同時に発生するのではなく、通常はサービス提供から実際の入金までに一定の間隔が発生するためです。特に、保険請求に基づく売上と入金には約2カ月のタイムラグが生じます。未収金管理をしっかりと行わなければ「いつ、いくら入金されるか」「現時点での未収金額はいくらあるか」「請求したとおりの金額が入金されているか」などを把握できなくなります。これは法人の資金繰りを悪化させる要因になりかねません。
地域ケアの今(39)
本誌10月号では、東京都における福祉領域の第三者評価の概要を紹介しました。現在、各評価機関は1年のうちで最も繁忙期といえる時期を迎えています。私が所属している評価機関も評価者のチームを編成し、各事業所を訪れてヒアリングに取り組んでいるところです。
評価者チームは事前に、①事業所のリーダー層の合議による自己評価、②全職員が行う自己評価、③評価者が利用者に対して行う利用者調査の3つの結果を読み込み、ヒアリングに臨みます。ヒアリングの事前準備として、事業所は①と②を行い、評価機関に郵送します。なお、①と②の評価項目は同じです。③については入所施設の場合は評価者が利用者面接、通所サービス事業所の場合はアンケート用紙の郵送・回収などをします。評価者チームは①〜③を集計し、その結果をヒアリング前に事業所に届けます。
そして、①〜③の結果を基に事業所へのヒアリングを行います。その後、評価者チームは評価結果を合議し、評価機関として講評を仕上げ、その内容について当該事業所に同意を得て東京都に報告し、終了します。事業所への事前説明、契約、評価への着手、評価結果の報告という一連の評価プロセスに要する期間は、3〜5カ月程度です。
今回は、ヒアリングで感じることを踏まえ、リーダー・職員と、利用者や家族とのコミュニケーションのあり方について考えます。
【編集部オススメBOOKs】vol.35 苦手意識をなくそう!
ナースの日々の仕事は患者さんへのケアだけではなく、記録などの事務や、患者さんやご家族への説明や対応など非常に多岐にわたるので、得意なものとそうでないものがあるのは仕方ないですよね。
今回は「やらなければならないけどあまり得意ではない…」という声が多い、「コミュニケーション」「フィジカルアセスメント」「家族への対応」「文章を書く」に関する書籍を取り上げてみました。
知識をしっかり身に着けてからやってみると、苦手なものもうまくいきやすいそうです! 続きを読む…
SPECIAL BOOK GUIDE 実践力向上に効果的な「シミュレーション教育」の 看護基礎教育への導入・活用ガイド刊行!
看護界にシミュレーション教育が導入されるようになって10年余り。これまでは卒後の継続教育での活用が多かったのが、最近では学生を対象とした展開も期待されるようになってきました。本書は、看護基礎教育にシミュレーション教育を導入する際の基本的な考え方を踏まえ、各教育機関で、「いつ」「何を」「どうやって」組み込んでいけばよいかをガイドします。