訪問看護ステーションや高齢者ケア施設の管理者が抱える課題を浮き彫りにし、どうしたら職員が辞めない組織づくりができるのかについて指南します。
やりがいを共有できる組織
横山 郁子
よこやま いくこ
株式会社パーソナル・ナース 代表取締役/訪問看護塾 塾長
神奈川県訪問看護ステーション協議会 顧問
本連載もいよいよ最終回です。そこで今回は、看護師という仕事を続けられる理由の1つである「看護のやりがい」を取り上げたいと思います。
訪問看護の仕事をしているとき、やりがいを感じるのはどのような場面でしょうか? 症状コントロールがうまくいったとき、看護師として困難な状況を乗り越えられたとき、他職種の人から感謝されたときなど、さまざまな瞬間があると思います。どんな仕事でもそうですが、やりがいを感じるとそれまで仕事に対するモチベーションが低下していても、一瞬にしてリフレッシュされます。そのとき、やりがいを共有できる仲間がそばにいれば、喜びも増します。
しかし、訪問看護師は基本的に1人で行動するので、自分が「よっしゃ!」と強くやりがいを感じた場面があっても、その場に同じ喜びを共有できる仲間がいないことが多いのです。1人で感じる喜びは、仲間と共有した喜びよりも比較的早く記憶から消えてしまいます。そのため、職員同士がやりがいを共有しながら、職員がこの職場で頑張っていきたいという気持ちになってくれるような仕組みを組織として構築すると、離職率低下につながると考えます。
本稿では、職員が感じたやりがいを仲間と共有する仕組みをつくるための3つのポイントをお伝えします。