先週まで連載の紹介ばかりしていましたが、今日はメインの特集の紹介です。8月号では専門的な管理の必要がないストーマの装具交換を医療者以外も行えるようになったことを受けて、「このような中で本当にストーマ保有者の安全を守っていくために、ナースは何を知っておくべきかを伝えるべき」という編集会議での意見を受けて特集を組みました。
監修をしてくださったのは、日本創傷・オストミー・失禁管理学会で、医療者以外のストーマ装具交換の指針作りに携わった田中秀子先生(淑徳大学看護栄養学部教授)です。
各論では、さまざまな場面でストーマ保有者の安全を守るために活動されている皮膚・排泄ケア認定看護師の皆さんに、実際の活動をご紹介いただいています。以下では、そのポイントをご紹介します。
家族や介護職など医療職以外の協力を得る場合
小林智美(駿河台日本大学病院/皮膚・排泄ケア認定看護師)
■介護保険など公的な手段以外でサポートが得られる方法を探してみる
■現状で得られるサポートの内容を正しく伝え、患者自身の参加の必要性を理解してもらう
■退院前合同カンファレンスの際などに、実際の装具を使って説明し、具体的なイメージを持ってもらう 困ったときには病院もサポートすることを伝え安心感を持ってもらう
■介護職でも、訪問看護師でも、わかりやすい説明を心がける
■装具交換の介助だけでなく、見守るという行為でもセルフケアの助けになる
急性期病院から回復期病院を経て退院した場合
室岡陽子(淑徳大学看護栄養学部/皮膚・排泄ケア認定看護師)
■退院時には、退院後の生活状況を踏まえた装具選択を行う
■退院時には、ストーマ装具交換など具体的な手技も含めて在宅医療チームに引き継ぐ
■看護サマリーは病院間だけでなく、在宅医療への橋渡しにも活用する
■社会復帰後の問題解決にもストーマ外来を活用する
■情報をわかりやすく引き継いでいくことで、患者が必要なときに必要なケアが受けられるようにする
ストーマ外来がない病院で造設術を受けた場合
小林智美
■在宅での患者・家族の頑張りを労う
■皮膚障害の原因を特定し、患者・家族が実施可能なケア方法を考える
■在宅での様子や言動からセルフケアを進めるヒントをつかむ
■初回外来時に正確な情報を提供し、現状について理解してもらう
■患者の性格に合わせた言葉かけでセルフケア能力を引き出す
■インターネットや福祉窓口などで、ストーマ保有者が専門外来や専門家にアクセスできる環境を整える
認知症など理解力に問題がある場合
山坂友美(独立行政法人国立病院機構相模原病院/皮膚・排泄ケア認定看護師)
■術後の生活やボディイメージを想像できるようにする
■装具の選択・管理は患者の思いや心身状態、生活環境などを考慮する
■ストーマ管理への理解状況を確認する 経済状況なども考慮しつつ必要なケアが実施できる方法を考える
■家族から情報を得ることで患者の尊厳を守る
■「自分でできる」を尊重しつつ、できなくなったときへの準備も忘れない
■残存能力を正しく判断し、適切な時期に適切な支援を提供する