地域ケアの今⑯

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

プロセスを丁寧になぞると、

期待される看護が見えてくるかも?

文:上野まり

 

大昔、私が看護師になったばかりのころ、いや、看護学生のころから「看護過程」には悩みながらも慣れ親しんできて数十年がたちます。未熟なまま過ごしてきたにもかかわらず、それを棚に上げて大学や研修会で、看護過程について教授しているのはなんともお恥ずかしい限りです。
研修会などで出会うベテラン看護師の中にも、未だに看護過程に対する苦手意識が拭えない人は多いようです。看護師という専門職だからこそ最も得意としなければならないはずなのに、なぜこんなに難しいのか……と常々思っています。
 
訪問看護に求められているのは何か
 
先日、「訪問看護過程の展開」をテーマにした研修会に講師として参加しました。研修会では、1つの事例を用いて参加者全員で看護過程を展開することになりました。事例は架空の50代男性A氏。A氏は脳血管疾患の後遺症を持ち、要介護5の寝たきり状態で、複数の医療処置を受けており、今後も自宅で家族と一緒に生活することを希望しているという設定でした。

まず、訪問看護のために開発された既存のアセスメントツールを活用してA氏の情報を収集。アセスメントした結果、問題がいくつも見いだされ、それらを全員で共有しました。そこまでたどり着くのも大変な作業です。それでも、昔に比べて短時間でできるようになりました。これは介護保険制度創設後から、種々のアセスメントツールや、パソコン・スマートフォン上で行えるソフトが開発され、ICT化が進んだおかげだと思います。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2017年1月号)