N.Focus  プロセス改善による生産性向上 NKリーン生産方式の活用①

 

プロセス改善による生産性向上 NKリーン生産方式の活用①

 

兄井 利昌 ● あにい としまさ

株式会社日本経営業務プロセス改善部 部長
リーンコンサルティング認定ゴールド資格保有

 

[略歴]

東京組織人事コンサルティング部門責任者およびリーンチーム責任者を務める。コンサルタントの解決策提供スタンスではなく、「現場職員が問題を発見し、解決するスタンス」をメインとする。約20年の医療機関へのコンサルティング経歴があり、コンサルティング実績は延べ100件以上。総務省公営企業アドバイザー(医療機関対象:医師の働き方改革、業務改善・効率化、人事制度構築等)も務めた。

 


 

筆者は、リーン生産方式という手法を医療現場に適した形で導入し、改善を行っているコンサルタントです。本稿では、この生産方式の概要を説明した上で、看護現場でよく見られる無駄と、その原因・対策を解説します。

 

 

看護部に進化をもたらす
新しいマネジメント手法

 

1. 看護現場を変えるリーン生産方式

顧客先の現場にうかがうと、ふと立ち止まる瞬間があります。人手不足に追われ、疲弊した顔をコンサルタントに隠そうとする看護師の方々を見たときです。やりがいはどこへ行ったのか。安全で安心できる環境は、どこにあるのか。職員の皆さんの目に映るのは、果てしない日常業務の繰り返し。そして、その中でいつしか失われていく自分の存在意義。何かが削られ、何かが置き去りにされています。無駄はそこに確実に存在し、気づかないうちに職員のエネルギーを奪っています。そんな現場を変えるために提案している新しいマネジメント手法が、「リーン生産方式」です。

 

Leanとは贅肉(無駄)を落としたという意味で、リーン生産方式は、もともと欧米で生産性向上を目的に広まったマネジメント手法です。これは、トヨタ自動車が開発した生産管理手法を体系化したもので、無駄を排除し、効率を最大化することをめざします。必要なものを必要なときに必要な量だけ生産する「ジャスト・イン・タイム(JIT)」や、作業の無駄を削減する「カイゼン(改善)」がその特徴です。

 

→続きは本誌で(看護2025年1月号)