看護と経営(5)

 

●監修 福井 トシ子

国際医療福祉大学大学院副大学院長/教授

●企画協力

鳥海 和輝

『Gem Med』編集主幹

小野田 舞

一般社団法人看護系学会等社会保険連合 事務局長

 

診療報酬等に関連する用語の理解や管理指標の持つ意味、病院機能ごとの経営の考え方について解説するとともに、事例を通じて、看護管理者が病院経営に貢献するためのヒントを探ります。

*vol.1〜7(予定)は【解説編】、以降は【事例編】となります。

 


 

vol.5  解説編

経営層との共通認識をはかるための
経営指標の理解④

 

小野田 舞

おのだ・まい◉島根大学医学部看護学科・助教、東京医科大学医学部看護学科・講師を経て、2018年より現職。看護学博士。国際医療福祉大学大学院管理実践看護学(DNP)・非常勤講師。

 

 

今回は、前号に引き続き、財務分析の5つの視点のうち「成長性」「効率性」、さらに政策的な観点からも重要な「機能性」について解説します。

 

病院の財務分析:「成長性」の視点

 

成長性分析とは、病院がどのくらい業績を伸ばしているかを分析することです。しかし、病院経営は利益を追求することをめざしていないため、経営規模の拡大というよりも、安定した経営ができているかどうかという視点で把握することが重要です。

 

 

1. 医業収益増加率

医業収益増加率は、一般的に売上高成長率または売上高伸び率と呼ばれる指標です。病院の収益が過去と比較してどの程度伸びているかを見ます。下記の計算式に当てはめると、前期に比べて当期の医業収益が何%増減したのかを把握できます。単年度だけでなく、複数年度のデータを分析することが重要です。

 

医業収益増加率=(当期の医業利益-前期の医業利益)/

前期の医業利益×100(%)

 

→続きは本誌で(看護2024年8月号)