訪問看護ステーションや高齢者ケア施設で生じやすい
人事労務に関するトラブルと対応策、
またトラブルの防止策について解説いただきます。
パワーハラスメントへの
事業所の対応②
パワハラの判断基準とスタッフに教えるべき基礎知識
中山 伸雄
なかやま のぶお
社会保険労務士法人Nice-One 代表 / 社会保険労務士
前回は、2020年6月より施行された改正労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)、通称「パワハラ防止法」の内容について述べました。
主なポイントをおさらいとしてまとめると、以下のとおりです。
【前回のポイント】
1 事業所は、次の4点に取り組む必要がある。
①事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
②相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ
適切な対応
④その他、相談したことを理由とした不利益な取り扱いの禁止
など
2 パワハラとは、以下3つの要件をすべて満たすものをいう。
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③労働者の就業環境が害されるもの
3 客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。
パワーハラスメント(以下:パワハラ)に限らず、ハラスメント問題で難しいのは「判断基準」です。したがって、その概略や判断基準について、スタッフに周知することが求められます。そこで今回は、パワハラの具体的な判断基準について紹介します。これらを理解できれば、パワハラに対する知識の基礎となるでしょう。事業所内のパワハラ防止研修等で共有していくべき内容として、参考になれば幸いです。