訪問看護ステーションの経営戦略(29)

訪問看護ステーションの管理者が地域のニーズを的確に捉えて健全

な経営を行い、その理念を実現するために行うべきことを、公認会

計士・税理士・看護師の資格を持つ筆者が解説します。

訪問看護ステーションの経営を
安定させるためのポイント

渡邉 尚之

 

 

「訪問看護ステーションの経営戦略」と題して執筆してきた本連載は、今回が最終回です。

 

最後のテーマは、「訪問看護ステーションの経営を安定させるためのポイント」です。法人の経営を安定させる効果的な取り組みや考え方について、6点を紹介します。

 

よいと思ったものは、ぜひ取り入れてみてください。

 

①“経営”理念を共有する

 

経営理念とは、端的にいえば「訪問看護事業を通じて何をしたいか」という“思い”です。言い換えれば、法人の存在意義ともいえます。なぜ訪問看護ステーションを立ち上げたのか、自分は訪問看護事業を通じて何を実現したいのかという思いを経営理念として掲げましょう。さらに、経営理念をスタッフと共有したり地域に発信したりすることで、自ステーションの存在意義を周知します。

 

経営理念のない法人は、明確な目的・目標がなく事業を行っているといっても過言ではありません。それは、いわゆる“行き当たりばったり経営”です。

 

逆に理念が明確な法人には、経営者にリーダーシップがあり、スタッフ間のチームワークもよい印象があります。これは、法人の理念に照らしてリーダーの役割・目標が明らかになるからではないかと考えます。また、経営理念をスタッフと共有することで経営の方向性・価値観が明確になり、法人の軸ができます。軸が固定されれば、あとは自法人が正しいと思うこと・事業を通じて実現したいことにまい進できます。

 

経営理念がなかったり形式的だったりする法人は、今一度、事業を通じて何をしたいのか“思い”を振り返る機会を持ちましょう。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2020年9月号)