地域ケアの今(23)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

介護相談員から見た

介護現場の不適切ケア

文:鳥海房枝

 

2017年3月、特定非営利活動法人地域ケア政策ネットワーク介護相談・地域づくり連絡会が、平成28年度老人保健事業推進費等補助金で行った「身体拘束及びグレーゾーン・不適切ケアに関するアンケート調査」の結果をまとめました。

 

高齢者ケア施設での虐待は、事件としてマスコミの報道によって表面化します。ところがこの調査研究では、“不適切ケア”の積み重ねが虐待や身体拘束に至るとし、この構造を虐待・身体拘束、グレーゾーン行為(非意図的虐待・非意図的身体拘束)、不適切ケアと、図のように位置づけています。また、アンケート調査の対象を介護相談員としたことも大きな意味があると考えます。なぜなら介護相談員は決まった事業所を定期的に訪問し、利用者・職員と顔馴染みになっており、現場の普段の介護をより客観的な立場で見ている貴重な存在だからです。今号では、「介護相談員派遣等事業」と「介護相談員」について概説した上で、アンケート調査の結果から見えてきたことを紹介します。

 


介護相談員派遣事業と介護相談員

 

介護相談員派遣等事業は、2000年の介護保険制度施行と同時に実施されました。実施主体は市町村です。事業目的は、「希望する事業所に介護相談員を定期または随時派遣し、利用者の声を直接聞いて不満や不安の解消をはかり、事業所におけるサービスの質の向上をはかる」ことです。