『看護管理者のための実践的マネジメント』初版発行から4年、新たに看護管理者に必要なジェネリックスキルやBSCの実践方法、平成24年度診療報酬改定への対応などの項目を加筆し、より充実した第2版が刊行されました。看護管理を実践している皆様の、経営感覚と知識を高める工夫が凝らされた本書より、その内容の一部をご紹介致します。
評者:佐藤 エキ子(聖路加国際病院副院長・看護部長)
看護とは何か。看護師は何をする人か。本質をあらためて考える究極の指南書
看護職に限らず、医療サービスに携わる医師、コメディカル、介護職の究極の指南書である。
本書は、3著者それぞれのメッセージと鼎談からなっている。鼎談は東日本大震災の2か月後に行われており、自ら被災地に立った日野原氏、川島氏の臨場感ある報告で始まる。折しも、震災後1年数か月を経てようやく石巻の仮設住宅の一角に診療所がオープンしたという報道に接したが、この間にも自ら落命した被災者は少なくない。被災地でのケアはいまだ渦中なのであり、被災者への継続したケアの必要性を強く説く両氏のことばが重く響く。治療と延命に傾斜してきた医療に対して日野原氏は、「日々の生活がその人らしく、健康で、豊かであり、生きがいを感じられることを約束するのが、あるべき医療である」と語る。震災を経験したことによって、医療本来の使命が浮き彫りになったといえよう。
評者:濱田 真由美(日本赤十字看護大学大学院博士課程)
看護独自の質的研究に関するテキストとなることを目指した本書では、本文中に引用されている研究が看護領域のものであり、看護の世界に身を置く読者にとっては研究課題と研究方法とのつながりがイメージしやすい。さらに、日本語版には1章と2章に「フォローアップ・ノート」が設けられ、訳者らによる解説によって読者の理解が深まるよう、工夫されている点も嬉しい。
評者:鈴木 恵美子(横浜メディカルグループ看護部老人保健施設レストア川崎看護部長)
認知症を巡る論は、各方面の有識者により議論されているところであるが、現在の名称に至る前は「痴呆」と呼ばれていた。「痴呆」という用語が侮蔑的な意味合いを含んでいることや、誤解や偏見の解消を図るとの考えから検討が行われ、2004年12月に「認知症」へ呼称変更となった。
認知症の三大原因には、大きく分けてアルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症がある。本書は世界で初めてレビー小体型認知症を明らかにした小阪憲司先生が、わかりやすい内容で、認知症という病気を巡る歴史から医療・介護の新しいカタチについて知り得なかった情報、レビー小体という物質、パーキンソン病の位置づけなど鑑別しづらい疾患についても詳しく述べている。
インターナショナル ナーシング レビュー日本版の読者の皆さまへ
このほど、「インターナショナルナーシングレビュー 日本版」は、現在制作中の158号(2012年秋号:10月1日刊行)をもって休刊することとなりました。
本誌は、1977年に東京で開催された第16回ICN大会によって、我が国の看護の国際的な視野が高まったことを機に、国際看護師協会機関誌「International Nursing Reviw」(INR)の日本版として、翌1978年に刊行を開始しました。世界の中でも、英語以外の言語にINRを翻訳する事業に取り組んだのは本誌が最初でした。
我が国の看護職者が、看護の国際的動向やICNおよび他の会員協会に関するニュースに触れ、またICN本部が各会員協会に何を伝えたいかを知ることを目的に誕生した本誌は、その後、翻訳記事だけでなく独自の日本版特集を組むスタイルとなり、国内外の看護の動きを大局的に捉える視点が加えられるようになりました。またここ数年は、看護系大学・大学院の増加に伴い、学術知識としての看護の情報提供を意識してきました。
しかし近年、対象とする読者の情報リテラシーが向上し、インターネットを介した主体的な情報収集に勝る価値を提供することが大変難しくなって参りました。とりわけICNトピックの翻訳を中心としつつ日本版としての独自性を追求していくことにおいて、本誌の枠組みをひとまず一から捉え直すために、この度の休刊という決断に至りました。
これを機に小社では、海外の看護の動向やアカデミックスキル、そして学際的アプローチにご関心を持たれる方々に向け、ただ目に見える「ニーズ」に応えるものではなく、新しい具体的な価値を積極的に提案していくような知識や情報の提供について、改めて考えていきたいと思っています。
本誌を通じて、これまでさまざまな出会いがありました。読者の皆さまのご意見、そして企画のご相談やお原稿のやり取りの過程で、看護と看護学の向上や発展という目的を真摯に共有させていただくことが、雑誌という営みの屋台骨になるのだと常々実感して参りました。
その成果として、今現在もさまざまな方々と、わくわくするような、いくつものアイディアの芽を育てている最中です。引き続きそれらを形にしていくことが、これからの大切な仕事です。「インターナショナル ナーシングレビュー日本版」の刊行は一旦休止となりますが、今後は書籍やセミナー、ネットを介した提供という方法で模索していきたいと思います。
皆さまには大変お世話になりました。長きにわたるご愛顧と多大なるご協力に、重ねて厚く御礼申し上げます。
株式会社日本看護協会出版会 雑誌編集部
「インターナショナル ナーシング レビュー日本版」編集長
村上陽一朗