トピック:患者のアドボケイトに徹した看護師が解雇され大きな話題に

 

 

ツイッターアカウント@wnursingを通じて、INR誌日本版に海外の看護情報を紹介されている福元ゆみさんが、以下の話題を編集部に届けてくださいました。

 

アメリカ人看護師のAmandaさんが、2011年4月、勤務する病院Banner Health Del E. Webb Medical Centerを解雇されました。理由は、末期の肝疾患で移植を受けることになっていた患者に対し、学際的なホスピスケアのケースマネジメント・コンサルティング(つまりインフォームド・チョイス)ができることを伝え、病院にそれを行うよう求めたことが原因ということです。

 

彼女の要求に憤慨した担当の内科医(移植手術担当の外科医ではありません)が、ドクターの仕事と手術の予定を混乱させたと、Amandaさんの上司に苦情を言ったことから、病院はそれに応じて彼女を解雇した後、アリゾナ州看護委員会に彼女のその後の看護職としての資格存続に関わる報告をしました。

 

もしライセンスが停止されれば、彼女の看護師としてのキャリアは終わってしまいますが、現在は調査中となっているようです。Amandaさんは患者の”advocate”として、看護師の役割を誠実に果たしたはずなのに、なぜ解雇されライセンスを剥奪されかねない状態になっているのか、自身に降りかかったこの状況は不当だと主張しています。そこでメディアのインタビューを受けたり、著名な作家に支援を求めるメールを出したりと、世論に訴えたようです。ネット上で見かけた範囲では、多くのナースが支援している印象を受けます。

 

本誌のコラム「ナーシングアイテム・コレクション」で写真を提供してくださっているVernon Duttonさん(@Nursingpins)さんも、支援者の一人です。

 

アメリカ看護師教会(ANA)は彼女の弁護士と接触し、アリゾナ州看護委員会にも、手順に従って公正な判断を下すよう求めていたようです。法律上の調査が進められている間、彼女の代理を務めるのは弁護士であり、看護師や一般の人々に対しては、ソーシャルメディアの投稿や報道を基に性急な判断をしないようにともあります。

 

@TorontoEmergさんのブログ記事によると「彼女は以前にも同じような要求をしているが、病院側にポリシーがない。今回は医師が不快感を持ち彼女の上司が医師の圧力に屈した。Medication errorの場合であれば上司も責任を共有するものなのに、Amandaさんにはそれもなかった。だから看護師らが激怒しているのだ」そうです。

 

そもそもの原因は現場のケアチームのコミュニケーション、もしくは人間関係に問題があったために、彼女が犠牲になったとも思えるのですが…。

 

 

〈関連情報〉


Amandaさんに関するANAの公式声明

 

アリゾナ州看護委員会への嘆願書署名サイト:Amanda Trujilloの看護ライセンスを「調査中」から解除して。

 

フェニックステレビのAmanda Trujilloさんへのインタビュー記事

 

American Journal of Nursing のブログ記事:Boards of Nursing and the Amanda Trujillo Case

 

(福元ゆみ)