人事労務相談室(26)

訪問看護ステーションや高齢者ケア施設で生じやすい

人事労務に関するトラブルと対応策、

またトラブルの防止策について解説いただきます。

 

 

[Q&A]求職者について、

その働きぶりを前の勤務先に問い合わせてもいい?

 

中山 伸雄

なかやま のぶお

社会保険労務士法人Nice-One 代表 / 社会保険労務士

 

 

事業者が採用時に最も強く願うのは「採用の失敗をしたくない」ということでしょう。中途採用の場合、もし求職者の働きぶりについての情報や評価を前の勤務先に聞いてから判断できたら、事業者側にとってはどれほどありがたいでしょうか。しかしその一方で、前の勤務先の主観的な評価で次の就職のチャンスを阻害されてしまうことは、求職者にとっては大きな問題となります。

 

今回は、以前の中途採用での失敗から、求職者の働きぶりについて前の勤務先に聞くことはできるかという相談事例を基に、法的な視点や注意点、その他の対応策についてご紹介します。

 

 

選考に当たって求職者の前職での働きぶりを知りたいが……

 

Q:人間性に問題があるスタッフを人材紹介会社の強い勧めで採用してしまい、とても大変な思いをしました。結局、退職勧奨を行い、特別退職金を支払うことで合意退職に至ったのですが、人材紹介会社への紹介料や退職までの人件費のほか、退職に伴う特別退職金も含めると、とても大きな損失になりました。後から人づてに知った話ですが、前職でも当事業所と同じような問題行動が原因で退職していたようでした。

中途採用の場合は、せめて前の勤務先での働きぶりを知りたいのですが、問い合わせることは法的に問題ないでしょうか?

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2023年9月号)