アンガーマネジメント(2)

怒りの感情と上手に付き合う手法“アンガーマネジメント”を看護職が医療・介護現場で生かすための、基礎知識と看護実践への活用のポイントを解説します。

 

気をつけたい4つの“怒り”

光前 麻由美

 

前号では、怒りは誰にでもある感情で、身を守るために必要なものだとお話ししました。私たち人間には喜怒哀楽の感情があり、嬉しいことがあれば喜び、悲しいことがあれば泣いたり落ち込んだりするのと同様、怒りも自然な反応です。半面、扱いを間違えるとトラブルにつながる可能性も秘めています。そこで、今回は気をつけたい怒りの傾向について紹介します。

 

問題となる4つの怒り

 

アンガーマネジメントでは、基本的に「怒ってもよい」と考えていますが、次の4つの怒りの傾向が強い場合には注意が必要です。ここでいう“問題となる”とは、社会性や人間関係においてトラブルを引き起こす可能性があるという意味です。これらの怒りは、後悔につながりやすいため気をつけましょう。

 

①強度が高い
怒り方が著しく強い状態です。小さなことに対しても火がついたように怒る、怒り出したら止まらない、といったタイプです。瞬間湯沸かし器のように突然怒り出すような、いわゆる“キレる”状態もこれに当たります。怒鳴ったり、そこまで言わなくてもという言葉を口にしてしまったりすることもあるでしょう。

 

強い口調で相手に怒りをぶつけるため、怒られた人は恐怖を感じて怒った人から遠ざかろうとします。反対に、“逆ギレ”される場合もあるでしょう。どちらにしても、相手とのよい関係性を築けなくなるため、得策とはいえません。また、このタイプは怒った後に後悔しやすく、落ち込む場合も少なくありません。

 

怒っていることを表現できるのはよいことですが、怒りによって相手を支配することはできません。怒る際にも、適切に怒れるようになったほうが得策です。本当にそこまで怒るほどのことだったのか、それともその必要がなかったのか、後ほど怒りの強さを数値化して客観視できる方法を紹介するので、ぜひ試してみてください。

 

→続きは本誌で(コミュニティケア2019年5月号)